sagitta_luminis
創作の原稿、設定置き場
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「横尾…横尾…!」
その後、健人はふらつきながらもすぐに和明を横たえた階段の踊り場へと向かい、その意識に呼び掛けた。横たえたその身体を抱え、右腕で支える和明の頭——力の投げ出されたその重さが健人の焦燥を煽る。
「……ぅ…あ、ゆみ…」
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2020年4月16日。花森健人が目を冷ますと、まず視界に入ってきたのは清潔感を感じさせる白い天井だった。ここは…どこだ?続いて感じたのは手に感じる柔らかな温み。まだ半開きの目線が、その温みを辿る。そこには疲れた顔で自分を見守る母、純子(すみこ)の姿が...
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”疾雷(しつらい)”―――その強靭な身体における特殊な神経・筋肉の活動電流を一時的に増加させることで、反応速度、運動量等を飛躍的に上昇する技である。だが身体的負担は大きく、この危険性を孕んだ能力のコントロールが可能なのは、雷の属性が宿った輝石と呼ばれ...
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自分の内側が塗り換わるような悍ましい感覚。疼くように鼓動が鳴り響く。拡がっていくその陰りは急速に勢いを増していった。一方でそれと比例するように、何も感じない自分も大きくなっていく。だからだろうか…状況が違うとわかりながらも、ふと思ったことがあった。
...
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2020年4月13日。その日の朝憬英道大学文学部一回生、花森健人(はなもりけんと)のスケジュールは、言語学と哲学概論の講義が午前中に1コマずつ。午後は自宅アパートの最寄りの古本屋兼ゲームショップ“ぶりっじ”でのアルバイト勤務が3時間だった。
「…腰痛...
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「アハトが消えた」
そこは朝憬市内のとある廃墟ビルの一室。カイルスはかつて使われていたものであろうビジネス机の上に腰掛け、外に面した窓に背を預けるネーゲルに言った。時間は深夜、深い暗闇の中に人間の作った電気の灯りがポツポツと灯っている。その光景を見つ...
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20XX年X月X日
事務所で設計図を描いていた新田宗一のところに1本の電話が入る。それを受けた宗一は大慌てで事務所を飛び出し、妻とともに病院へ向かう。しかし、通されたのは霊安室だった。本人かどうかの確認を求められた。そこにあったのは、左半身がぐちゃぐ...
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2020年4月16日。花森健人が目を冷ますと、まず視界に入ってきたのは清潔感を感じさせる白い天井だった。ここは…どこだ?続いて感じたのは手に感じる柔らかな温み。まだ半開きの目線が、その温みを辿る。そこには疲れた顔で自分を見守る母、純子(すみこ)の姿が...
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6年生に進級してから、このクラスはどこかざわつきがあった。
クラスの中心にいる生徒たちの声が大きく、強くない私たちはみんな周囲に流され、口調を合わせる。
誰かが陰口を言ったり、流れを乱すようなことをすれば次の日にはその子がいじめの標的にされる。