禁忌の魔法 1.星渡りの旅人 version 3

2023/10/22 23:03 by sagitta_luminis sagitta_luminis
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究極の魔法 1.星渡りの旅人
@[TOC]

##### 1-1.
ルクスカーデン王国の第一王女リュミエは、量子望遠鏡の置かれたベランダで星空を観察しながら、父親のエドウィン王と雑談に興じていた。リュミエ王女はエドウィン王から、夜空に浮かぶ星たちのひとつひとつにそれぞれの世界があること、その中で瞬きの間に生まれては死んでを繰り返す弱く儚い小さな輝きのことを“人”と呼ぶこと、そしてリュミエ自身もまた、その輝きのなかのひとつであることを聞く。

##### 1-2.
王城の一室にて。エドウィン王、グレイス王妃、リュミエ王女、ジェイムス王子の四人家族で食事を囲みながら雑談を交わし、団欒とした時間が流れる。リュミエ王女は望遠鏡で見た星たちに家族で行ってみたいと提案する。

##### 1-3.
数日後。都合が揃った4人は旅行に出る支度を整えている。その際、エドウィン王は家族に様々な注意事項を共有する。まず旅行先である星はルクスカーデンとは異なる次元にあること、そのため本当の肉体で行くことはできず、その次元用に調整済みの投影された身体に魂を転移する形での旅になること(持ち込みたい荷物も同じように投影で持ち込む形になることも含む)、また次元が異なるため旅先にいる間はルクスカーデン内での時間は進まず、旅行から帰ってくる時刻は出発した時刻の直後になること、はぐれてしまったらセーフティあるブレスレットを起動してルクスカーデンへと帰ってくること、その他もろもろを伝達する。さらにリュミエ王女は興味本位で質問し、旅先でも空腹感や疲労感はあるため適時食事や睡眠をとること、旅先での怪我や病気は帰ってきたら治っているが決して死んではならないこと、旅先でのお土産は持ち帰れないことなどを聞き出す。
数日後。都合が揃った4人は旅行に出る支度を整えている。その際、エドウィン王は家族に様々な注意事項を共有する。まず旅行先である星はルクスカーデンとは異なる次元にあること、そのため本当の肉体で行くことはできず、その次元用に調整済みの投影された身体に魂を転移する形での旅になること(持ち込みたい荷物も同じように投影で持ち込む形になることも含む)、また次元が異なるため旅先にいる間はルクスカーデン内での時間は進まず、旅行から帰ってくる時刻は出発した時刻の直後になること、そもそも行先自由に選べるわけはなく、ルクスカーデンの次元座標から一定の範囲内だけであることなどを伝達する。さらにリュミエ王女は興味本位で質問し、旅先でも空腹感や疲労感はあるため適時食事や睡眠をとること、旅先での怪我や病気は帰ってきたら治っていること、旅先でのお土産は持ち帰れないことなどを聞き出す。

##### 1-4.
初の旅行先は地球という星の朝憬市という街。リュミエ王女は次元跳躍による酔いで早速体調を崩し、初日は宿屋で時間を潰す。(旅程に関しては未定。)数日ほど滞在して帰還。

##### 1-5.
数ヶ月後。次元旅行にハマったリュミエ王女は度々家族での旅行を提案し、家族の予定が合わない時は1人でも旅に出るようになった。旅先での経験から魔法に頼らないサバイバル術や、現地の人とのコミュニケーションスキルなど多くの技術を得る。旅行中はルクスカーデンの時間は止まっているため、ルクスカーデンで数ヶ月経つ間にリュミエ王女は数年分の時間と経験を詰め込んでいる。さらに旅先で様々な人と出会い、たくさんの友達を作り、幾多の世界に知り合いを増やしていった。この頃は旅先での土産話を家族に共有するのがひとつの楽しみになっていた。

##### 1-6.
リュミエ王女の存在は「星渡りの旅人」として様々な土地で噂とて言い伝えられ、その噂はエクリプスの耳にも届くようになる。
リュミエ王女の存在は「星渡りの旅人」として様々な土地で噂となって言い伝えられ、その噂はエクリプスの耳にも届くようになる。
エクリプスはリュミエ王女の「星渡り」の能力を求め、言い伝えの残る土地に姿を現して調査するようになる。
やがて、リュミエ王女が再訪した際にエクリプスと邂逅することになる。噂の旅人とリュミエ王女が同一人物だと判断したエクリプスは手始めにリュミエ王女が現地で作った友達を攫い、リュミエ王女を誘き出したところを囲いこんで捕獲する作戦をとる。リュミエ王女はこの罠にかかる。魔法でエクリプスを押しのけて友達を救出し、両者ともに無傷で脱出する。

##### 1-7.
ルクスカーデンに戻ってきたリュミエ王女は、あまりに衝撃的な出来事にショックを受け夜も眠れずにいた。逃げ切る直前にエクリプスが言い放った、「お前が逃げるなら次の標的はもう考えてある」という言葉が頭から離れない。自分のせいで大切な友達が傷つくかもしれない、その恐怖がリュミエ王女の心を追い詰めていた。
ルクスカーデンに戻ってきたリュミエ王女は、あまりに衝撃的な出来事にショックを受け夜も眠れずにいた。逃げ切る直前にエクリプスが言い放った、「お前が逃げるなら次の標的はもう考えてある」という言葉が頭から離れない。自分のせいで大切な友達が危険な目に遭うかもしれない、その恐怖がリュミエ王女の心を追い詰めていた。ひとりで思い詰めている様子を見かねたエドウィン王は、事情には触れないながらも優しく諭す。

##### 1-8.
翌朝。エドウィン王からの諭しで今できることをやろうと決心したリュミエ王女は、再び友達の所へ次元跳躍する。

##### 1-9.
リュミエ王女は変わり果てた現地の光景に驚愕する。街全体がエクリプスの支配下におかれ、奴隷のように生気を失って働く人々の姿。家屋のほとんどが廃墟と化し、そこらじゅうを影魔が徘徊している。リュミエを目撃するなり捕まえようとしてくる影魔を対処しながら、まずは現地人に話を聞いて友達の居場所を探ろうとする。それにより、ルクスカーデンで一晩過ごした間にこちら側では半年もの歳月が過ぎていたことが判明する。
この半年の間に、エクリプスはリュミエ王女が再び現れた時確実に仕留められるよう街全体を乗っ取り、大規模な包囲網を作り上げてリュミエ王女の出現を心待ちにしていた。
一方で、半年前にエクリプスを押しのけ救出された体験を元に友達が「星渡りの旅人は強い、エクリプスなんかに負けない」という噂を流したため現地の人々もリュミエ王女の出現が現状の打破に繋がると信じて再訪を心待ちにしていた。
現地人の話によると、星渡りの旅人が現れたら友達はエクリプスが捕虜にしていると伝えろという指示が出ているらしく、リュミエ王女は友達を救うべくエクリプスを探す。

##### 1-10.
リュミエ王女と遭遇したエクリプスは出会い頭に「攻撃してきたら捕虜を殺す、大人しくついて来たら会わせてやる」と脅しをかけ、リュミエ王女を容易く連行する。
とある廃墟に連れ込まれたリュミエ王女は、そこで遺体となった友達と再会する。しかも遺体はまだ温かく、死んでから数分しか経ってないことが想像される。全身に切傷と打撲があり、エクリプスから星渡りの旅人の居場所を聞き出すため半年に渡って拷問されていたことが告げられる。曰く、“さっきまで生きていたが、もう用が無くなったので殺した”。

##### 1-11.
リュミエ王女は騙され、裏切られた悲しみに襲われ、自分のせいで友達を死なせてしまった罪悪感と喪失感で、周りが見えなくなるほどの深い絶望に落ちる。
“私のせいで殺されたんだ”
“あの子はずっと信じて待ってたのに、救えなかった”
“私が仲良くしなかったら、こんな風にはならなかった”
“旅なんかするから”
“友達なんか作るから”
“誰とも関わらないまま、独りでいれば誰も不幸にならずに済んだのに”

##### 1-12.
エクリプスは悲しみに暮れて戦意を喪失したリュミエ王女を拘束し、様々な実験を行ってデータを収集、「星渡り」の能力がエクリプスには到底真似できない超技術であることを結論付けると、リュミエ王女を殺害。      

目次1-1.1-2.1-3.1-4.1-5.1-6.1-7.1-8.1-9.1-10.1-11.1-12.

1-1.

ルクスカーデン王国の第一王女リュミエは、量子望遠鏡の置かれたベランダで星空を観察しながら、父親のエドウィン王と雑談に興じていた。リュミエ王女はエドウィン王から、夜空に浮かぶ星たちのひとつひとつにそれぞれの世界があること、その中で瞬きの間に生まれては死んでを繰り返す弱く儚い小さな輝きのことを“人”と呼ぶこと、そしてリュミエ自身もまた、その輝きのなかのひとつであることを聞く。

1-2.

王城の一室にて。エドウィン王、グレイス王妃、リュミエ王女、ジェイムス王子の四人家族で食事を囲みながら雑談を交わし、団欒とした時間が流れる。リュミエ王女は望遠鏡で見た星たちに家族で行ってみたいと提案する。

1-3.

数日後。都合が揃った4人は旅行に出る支度を整えている。その際、エドウィン王は家族に様々な注意事項を共有する。まず旅行先である星はルクスカーデンとは異なる次元にあること、そのため本当の肉体で行くことはできず、その次元用に調整済みの投影された身体に魂を転移する形での旅になること(持ち込みたい荷物も同じように投影で持ち込む形になることも含む)、また次元が異なるため旅先にいる間はルクスカーデン内での時間は進まず、旅行から帰ってくる時刻は出発した時刻の直後になること、そもそも行先は自由に選べるわけではなく、ルクスカーデンの次元座標から一定の範囲内だけであることなどを伝達する。さらにリュミエ王女は興味本位で質問し、旅先でも空腹感や疲労感はあるため適時食事や睡眠をとること、旅先での怪我や病気は帰ってきたら治っていること、旅先でのお土産は持ち帰れないことなどを聞き出す。

1-4.

初の旅行先は地球という星の朝憬市という街。リュミエ王女は次元跳躍による酔いで早速体調を崩し、初日は宿屋で時間を潰す。(旅程に関しては未定。)数日ほど滞在して帰還。

1-5.

数ヶ月後。次元旅行にハマったリュミエ王女は度々家族での旅行を提案し、家族の予定が合わない時は1人でも旅に出るようになった。旅先での経験から魔法に頼らないサバイバル術や、現地の人とのコミュニケーションスキルなど多くの技術を得る。旅行中はルクスカーデンの時間は止まっているため、ルクスカーデンで数ヶ月経つ間にリュミエ王女は数年分の時間と経験を詰め込んでいる。さらに旅先で様々な人と出会い、たくさんの友達を作り、幾多の世界に知り合いを増やしていった。この頃は旅先での土産話を家族に共有するのがひとつの楽しみになっていた。

1-6.

リュミエ王女の存在は「星渡りの旅人」として様々な土地で噂となって言い伝えられ、その噂はエクリプスの耳にも届くようになる。
エクリプスはリュミエ王女の「星渡り」の能力を求め、言い伝えの残る土地に姿を現して調査するようになる。
やがて、リュミエ王女が再訪した際にエクリプスと邂逅することになる。噂の旅人とリュミエ王女が同一人物だと判断したエクリプスは手始めにリュミエ王女が現地で作った友達を攫い、リュミエ王女を誘き出したところを囲いこんで捕獲する作戦をとる。リュミエ王女はこの罠にかかる。魔法でエクリプスを押しのけて友達を救出し、両者ともに無傷で脱出する。

1-7.

ルクスカーデンに戻ってきたリュミエ王女は、あまりに衝撃的な出来事にショックを受け夜も眠れずにいた。逃げ切る直前にエクリプスが言い放った、「お前が逃げるなら次の標的はもう考えてある」という言葉が頭から離れない。自分のせいで大切な友達が危険な目に遭うかもしれない、その恐怖がリュミエ王女の心を追い詰めていた。ひとりで思い詰めている様子を見かねたエドウィン王は、事情には触れないながらも優しく諭す。

1-8.

翌朝。エドウィン王からの諭しで今できることをやろうと決心したリュミエ王女は、再び友達の所へ次元跳躍する。

1-9.

リュミエ王女は変わり果てた現地の光景に驚愕する。街全体がエクリプスの支配下におかれ、奴隷のように生気を失って働く人々の姿。家屋のほとんどが廃墟と化し、そこらじゅうを影魔が徘徊している。リュミエを目撃するなり捕まえようとしてくる影魔を対処しながら、まずは現地人に話を聞いて友達の居場所を探ろうとする。それにより、ルクスカーデンで一晩過ごした間にこちら側では半年もの歳月が過ぎていたことが判明する。
この半年の間に、エクリプスはリュミエ王女が再び現れた時確実に仕留められるよう街全体を乗っ取り、大規模な包囲網を作り上げてリュミエ王女の出現を心待ちにしていた。
一方で、半年前にエクリプスを押しのけ救出された体験を元に友達が「星渡りの旅人は強い、エクリプスなんかに負けない」という噂を流したため現地の人々もリュミエ王女の出現が現状の打破に繋がると信じて再訪を心待ちにしていた。
現地人の話によると、星渡りの旅人が現れたら友達はエクリプスが捕虜にしていると伝えろという指示が出ているらしく、リュミエ王女は友達を救うべくエクリプスを探す。

1-10.

リュミエ王女と遭遇したエクリプスは出会い頭に「攻撃してきたら捕虜を殺す、大人しくついて来たら会わせてやる」と脅しをかけ、リュミエ王女を容易く連行する。
とある廃墟に連れ込まれたリュミエ王女は、そこで遺体となった友達と再会する。しかも遺体はまだ温かく、死んでから数分しか経ってないことが想像される。全身に切傷と打撲があり、エクリプスから星渡りの旅人の居場所を聞き出すため半年に渡って拷問されていたことが告げられる。曰く、“さっきまで生きていたが、もう用が無くなったので殺した”。

1-11.

リュミエ王女は騙され、裏切られた悲しみに襲われ、自分のせいで友達を死なせてしまった罪悪感と喪失感で、周りが見えなくなるほどの深い絶望に落ちる。
“私のせいで殺されたんだ”
“あの子はずっと信じて待ってたのに、救えなかった”
“私が仲良くしなかったら、こんな風にはならなかった”
“旅なんかするから”
“友達なんか作るから”
“誰とも関わらないまま、独りでいれば誰も不幸にならずに済んだのに”

1-12.

エクリプスは悲しみに暮れて戦意を喪失したリュミエ王女を拘束し、様々な実験を行ってデータを収集、「星渡り」の能力がエクリプスには到底真似できない超技術であることを結論付けると、リュミエ王女を殺害。