0 15年以上勤めた気象庁を退職した #理系 #公務員 #転職 みんなに公開
気象庁というところで15年以上勤めていたのですが、退職して別の企業で働くこととなりました。理系公務員の転職関係の記事は調べてもあまりなかったので、少しでもあとから同じ道を考える人に役立てばと、記録を残しておきます。
状況など
- 採用の事情により、一般的な就職活動はしていない。
- 気象庁にて気象関係を少し、コンピュータ関係(アプリ開発・インフラ管理)を多く担当してきた。もともと気象に興味があって入った気象庁というのもあり、コンピュータ・気象ともそれなりには勉強しているつもり。(気象庁内の業務でも地震火山や環境海洋については明るくない。)
- 自身ならびに周囲の人事を見ていて、自分が住みたい場所(関西に持ち家があるためそこにいたい)と自分の強みを活かした良い仕事(前項にもあるがコンピュータ関係を活かしたい)との両立が不可能と考えたことから転職を決意。
- そもそもその両方が叶う企業に自分が拾ってもらえるかはわからなかったので、仕事をやめることなく転職活動を行った。(全く見込みがなさそうなら転職しないという選択肢も残しておいた)
- 円満な転職であり、こじれてどうのと言った問題はない。
- 趣味として、落語・茶(資格持ち)・文具(資格持ち)・Web講義・競プロなどをしている(過去形のもの含む)ため、上記の気象またはこれら趣味のいずれかが活かせる方向での転職を考えた。
時期別の顛末
転職を考えだした頃
- もともと、競プロ関係の友人(IT関係が多い)などもあり、転職関係の話は聞いていた。また、古くから競プロをやっていたため、その関係でのOfferなども来ていた過去があった。そのため「どんなことがあったのか」を耳にしたぐらいのことはあった。
- 意に沿わない人事があり、心身でも苦しいことがあったことから、転職を視野に入れ始めた。
- たまに時間をとってどんな企業の求人があるかを眺めたり、公務員から転職した人の体験記を読んだりしていた。
転職を決意して
- 人事状況などから転職を決めて、たまたまその直後に会う予定だった転職経験者とかとお話してみた。
- この後にも、いろいろな人と話したが、「公務員でずっとやってきたので通用するのが不安だ」というのに対し、異口同音に「あなたならば大丈夫だ」と太鼓判を押してくれる人ばかりで、結構背押しになった。
- 以前読んだ体験記と、自分が上記のとおりいわゆる就職活動をしていないのとを考え、ある程度レクチャーがあったほうがいいということで転職エージェントに登録する。利用した転職エージェントは3つ。
- paiza Agent
- リクルートエージェント
- AtCoder Jobs
- この他、上記エージェント関連のダイレクトリクルーティングサイトも登録した。また、知己に声をかけていただいたりというのもあったので、リファラル採用の点で数人に話を聞いた。
転職活動前期
- 最初はPaizaのサイトでとりあえず技術力が残っているかを確かめ、ある程度行きたい企業を絞り込んだ。
- その上でpaiza AgentやAtCoder Jobsとの面談で自身の方向性と受ける企業を決めていった。
- 最初に面談したのもあるのかもしれないが、paiza Agentの面談は非常に手厚かった。面接練習・エントリーシートの添削など非常に詳しくやってくれた。受ける企業についても相談して、「この点は大丈夫か?」など、自身の見逃している点まで相談に乗ってくれ、非常にありがたかった。(結果的にはpaiza Agentからの求人ではないところになったが…)
- 自身の経歴がかなり変わっているのもあり、正直方向性については相談してもなお難しかったが、それをうまく活かせる所を面談で見極めるのが正解と感じた。
- 中途採用というのもあるし、paiza Sランク(Atcoder青)という点よりは、実務経験を活かすほうがよほど役立った。(少なくとも競プロ転職と言われるタイプではなさそう。)
- ある程度期間がたってからだが、転職活動前から「ここは自分に合いそう」と思っていた志望度の高い企業を扱っているエージェントも使えたほうがいいと考え、リクルートエージェントにも登録した。
- 面談はあったが、正直paiza Agentからもらった支援で事足りていたので、手続き面中心でお願いすることになった。
- TELでの連絡が多く、でられないことが結構あったり、大手故に対応数も多いのか、待ちやすれ違いが発生することもあった。
- 必要な対応はしてくれているし、案件数も多いので役立ったが、サポートの手厚さという観点では今一歩劣るように思った。
転職活動後期
- リクルートエージェントのアドバイスもあり、10社以上に応募
- わからないので正直に従ったのだが、適性検査受験や面談の日程調整が大変だった。
- もう少し長期化してもいいという気持ちで、一気に応募する企業は減らしたほうがいいと感じた。
- 書類選考で落ちるところは結構あった。
- 「公務員だと転職で不利」みたいな話をちょいちょい聞くが、書類選考時点でそれはわかるので、別にそんなに気にせず応募して良いと感じた。
- 一度応募して「人材募集を締め切ったので応募できない」と言われた企業が、2日後にまた求人票を更新している…ということがあったので、落ちたのではなく応募できなかった場合には辛抱強く調べてみるのも大事そう。
- 適性検査は別に難しいものはなかった。
- 一般的な思考・教養があれば解けると思う程度のものだったが、不安があれば対策してもいいかも、程度。
- 一応ブックオフで(数年前の)同じ試験の対策書が220円だったので買ってみたが、試験の概要に目を通した程度だった。
- SPIはLinuxからの受験に対応していなくてどうかと思った。
- 企業別の試験は、結構難しかったりした。
- 面接まで日がある場合は復習しておくのも重要。
- 最近書いてない言語だったりすると、あまり使わない文法でちょっと不安があったりするので、そのリハビリも必要だった。
- 面接ではpaiza Agentの練習と助言が一番役立った。
- 面接内容を明かすわけにはいかないが、いわゆる転職の質問としてはまっとうなものが多かったと思う。
- 面接で落ちた所については、「能力の否定ではなくミスマッチ」という助言は特に精神の安寧に重要視していた。(実際、断られた理由は「スキルが合わない」が9割以上だった。)
- 正直、面接の手応え(面接内で自分自身がこの企業に合うかどうかというのはある程度感じられた)がない企業はすんなり落ちた連絡が来て納得がいった。手応えがあった企業は(最終的には落ちたにしても)「悩んでいる」などの連絡があり、自身の手応えと相手の印象は比例しているように思った。
- リファラル採用でも少し受けたが、面接の手応え的には「それなり」程度で、結果的には落ちた。ネットの記事には「落ちたり蹴ったりすると友人との関係が気まずくなる」とか書いていたが、あくまで友人が情報をくれただけという扱いだと思っているし、その認識で企業もやっていそうなので、正直あまり気にしていない。(普通に遊びに誘ったりしている)
- 私のような国家公務員の場合、「国家公務員に関する再就職等の規定」があり、これについては誰も助けてくれないので、自分で熟読して把握しておいたのが正解だった。
- 特にこの段階では利害関係と情報提供関係の部分が重要だった。例えば、リファレンスチェックは後者に引っかかるため対応できない。その旨は面接時に伝えた。
- 結果的に、志望度の一番高い企業から一番最初に内定をいただくことになった。
- 最終面接が1時間の予定の所15分で終わって少しビビっていたが、結果的には良かった。(面接終了後に職場を見ていきませんかとサーバ室まで見せてもらえたので、今思えば吉報だったのかな)
- 最終面接翌日にはエージェントに内定を伝えてくれていた様子(エージェントから私のところに来たのは翌々日)
内定をもらって
- 一応もう1社(第2志望、条件次第ではこちらもありうる)の答えを聞いてから決めることにし、返事を1週間伸ばしてもらった。
- 結果的にもう1社は「かなり悩んだがお見送り」との返事が来たので、第1志望の企業に決まった。
- 第1志望の内定が来た時点で、いずれにしても上記2社のどちらかに決めることには確定したので、関係の対応を行った。
- 選考途中の企業に選考辞退の連絡(直近のものやダイレクトで進めていたもの)
- 各エージェントに残り2社で決める旨の連絡(直近以外の選考辞退はこちらで対応いただけた)
- 合わせて、職場関係の対応
- 上司に退職の連絡(これは直接話した)。上司が変わったタイミングだったが、前の上司にも考えている旨は伝えていたので、少々驚かれた程度で「職業選択の自由があるから引き止めはしない」とすぐにすんだ。後日、転職に至った経緯の聞き取りもあったが、これも引き止め等はなかった。
- 再就職関係での書類の準備。(提出は上司から連絡があってから)
- 辞職願の提出(上司から雛形・連絡があったので言われたとおりに書いただけ)。
- 再就職関係は熟読して準備しておいたので、すんなり済んだ。後は上司に言われた通りに対応するだけなので、特に困難はなかった。
- 国家公務員には申し出た退職を止められないような人事院規定があるそうなので、特にこじれたりは全然なかった。
- 正直、退職関係については、公務員は民間とは結構異なる気がするので、エージェントのアドバイスはあまり役立たなかった。淡々と職場の上司と相談して対応を進めるのみだった。
- ちなみに、ニュース等でも取り上げられている退職代行は、公務員の場合(弁護士が行う場合などを除き?)使えないらしい。上記の通りこじれてもいないし淡々と進めているので、別に利用を考えもしなかったのだが、調べてみて知ったのでメモしておく。
退職まで
- 退職を伝えてから大体2ヶ月半あった。
- 転職先か現職でやり取りするものが多かった。言われたとおりに対応するものがほとんど。
- 年金関係の対応
- 共済組合関係の対応(共済組合が提供している貯金や保険等々)
- 物品返却等の対応
- 転職先への情報提供(基礎年金番号・マイナンバー等々。公務員だと雇用保険がないのでそれは「ない」と返信した。)
- 住民税(日を開けずに転職するので、源泉徴収になるよう転職元・転職先と相談して対応した。)
- ただ、個人で行っている以下は自分で対応することになった。
- iDeco(殆どは転職先だが、転職元の情報をかく欄があるので、それだけは転職前に対応した)
- 住宅ローンの職業変更(電話で聞いたら、アプリから職業変更するだけでいいと聞いたのですぐできた)
- エージェントからは入社までサポートするメールが来たが、あまり役立つとは言いづらかった。
- 残った仕事を片付け、引き継ぎを準備し、有給休暇等の消費をして…というのはよくある会社と同じだと思う。
- 有給消化期間に入る前に(多少の勤務日を残して)お世話になった人には(全国にいるので)メールでご挨拶をした。
- お返事をくれる方も居て"残念だけど次でも頑張れ、あなたなら大丈夫" という趣旨の言葉が嬉しかった。
転職活動の総括
長々経緯を書いたけど、総括。
転職活動をしてみて
- ぶっちゃけしんどい。強い決意ができるまではやらなくていいと思った。
- 公務員をやめることに「もったいない」とかいって反対する人は一定数(特に年齢層が上の人に)多いみたいだが、昨今の不人気な状況や、叩かれまくって沈香も炊かず屁もこかずに追い込まれている所、待遇その他で客観的にみて転職に踏み切れば良いと感じた。
- 少なくとも「もったいない」という人で、きちんと実態を踏まえて客観的に転職しないほうがいいと示してくれた人は皆無だった。
公務員からの転職で留意すべき点
- 再就職規制と退職代行不可の2点は法律面でも重要。転職活動前に必ずチェックしておくほうがいい。
- あと、副業規制はあるので、転職前就業にも留意したほうがいいかも。
- 再就職規制の関係上、転職先を明かさないという選択は取れない。なので、どうせならそれを活かして住民税の特別徴収を続けるとか、転職の状況を周囲に話して理解・協力してもらうとかに持っていったほうが良さそう。
- 公務員だから転職で不利とかは気にしないでいいと感じた。(そういう扱いをする企業はどうせ合わないし、縁のある企業を探したほうがお互い幸せ)
- 公務員ならではの点はエージェントも採用担当も知らないことが多いので、その部分は自分で十分理解しておいて対応すること。(特に上記の再就職規制と退職代行不可の点、経緯でいうところの退職の流れあたり)
理系公務員という点での転職について
- 珍しい経歴ということにはなるので、マッチしにくいこともあるかもしれないが、逆にそれゆえの経歴として話もできるので一長一短。
- 理系の公務員だから…と気にする必要はほとんどなく、自分の歩んできた道を正直に話せば良いと感じた。
転職エージェントについて
- AtCoderJobs:競プロ関係の転職というのもあって使ったが、東京近郊以外の転職は正直絶対数が少ないと思った。ダイレクトサイトからリモートのところの検索ができるわけでもなく、そういった企業を紹介してもらえたりもしなかった。エージェント紹介では受けず、ダイレクトで1社受けただけ(興味はあったが内定が先に来たので辞退した)。今回のエージェントでは、タイミングもあって一番浅いお付き合いで終わった。
- リクルートエージェント:数があるのは強い。受けてみたい企業を多く出してくれたと思う。実際、自分の第1・第2志望はいずれもここ経由で、決まったのもここ。
ただ、機械的に大量の求人を送って来るので不要なものも多かったし、アンケート等も多いので大変だった。手厚いサポートという感じはなく、割と定型的なサポートが一通りありますよというものだった。役に立ったが、「自信がないので伴走者がほしい」という視点だとここ一社に絞るのはしんどい。あと、面談とか電話のときに背景の雑音がちょっとうるさく感じた。 - PaizaAgent:今回利用したエージェントでは一番手厚くサポートしてくれたと思う。受けたい企業も(数は多くないが)出してくれたし、Paizaのサイトからも複数応募させていただいた。結果的にここで決めることにはならなかったけれど、とても良かったと思う。
終わりに
結果的に、条件としてはかなりの部分で満足行く職業につくことになりました。あとは自分が新たなステージで頑張って、転職してよかったと思えるようにしていきます。不自由な公務員のときにはできなかったこともやってみたいですね(Noteの有料記事とか)。
理系公務員からの転職活動の記録として、この記録が何かの役に立つことを祈ります。
また、私をリアルで知っている皆様におかれましては、できますればこれまでと変わらぬお付き合いのほどお願い申し上げます。
コメント(0)