0 『雨上がり 入り陽さすまで』言い訳 みんなに公開


はじめに

ほとんどが再録で、ほぼ自分のためにまとめた本にも関わらず、手にとってくださり本当にありがとうございました。FF外の方も手にとってくださったようで、本当に夢のようです……。

ED1後を妄想しているうちに、自分の中のしぃちゃんと須賀くんがどんどん自分で歩きだして、気がついたら子どもが生まれていました(飛躍しすぎ)。その一歩手前の、しぃちゃんが就活をして、その結果阿座河村で暮らしたいと思うまでの話を書きたい、というのは『6/12』を書いている頃から思っていました。

それと同時に、このしぃちゃんと須賀くんの連作を一冊にまとめたいな……という想いもずっと胸にありました。それをちゃんと形にできたことは、自分でもよくやったな!?と思っています。やればできる!

しかし、同人誌を作るのが完全に初めてだったため、反省点がどんどん出てきて……お迎えいただいた方々に頭を下げたくてこれを書いています……。


ミスのお詫び

再録の作品にも今回の収録にあたって少しずつ手を入れ、口調や表現を整えました。ショートPV企画も主催してくださったBさんが、企画もお仕事もお忙しいのに誤字チェックを買ってでてくださり、本当に助かりました。とても細かく見てくださって……ありがたさと申し訳無さでこのときすでに埋まりそうでした。そしてミスが多すぎて泣きそうでした。タイプミスだけでなく、漢字の使い方も表記揺れも、ライブ感で書いてるのが丸わかりなデタラメさ……。

でも書下ろしについてはBさんも本で読むのを楽しみにしてくださっていたので、自分でチェックしたつもりだったのですが……。

1000003465

p186
謎の傍線!?!?上の線も!?!?
調べてみると「変更履歴」という機能が表示されてしまっていたようです(設定した覚えがまるでない……)。きちんと確認していれば防げたものでした。
意味ありげですがなんの意味もありません。申し訳ありませんでした……。

1000003466

p191
改行ミス──────!!!
『……を任せてもらえるように〜』からを次ページからにしたかったのに豪快に間違えてます。すみません……。

そしてこれは目測違いでしかないのですが……
ぎちぎちに端まで字で埋まりすぎ!!!
絶対中央の部分が読みにくかったかと思います。
あと一行減らして、上下左右に余白をもっと取るべきでした。ページ数が増えることを恐れすぎてしまいました……度胸のなさ……。
素人丸だしですみません。ガっと開いて読んでください。
ご不便をおかけして大変申し訳ありませんでした……。


『入り陽さすまで』について

長い間書きたいと思っていたことで妄想が膨らみすぎてしまったな……と思います。いろいろと盛り込みすぎたせいで最後が駆け足になってしまいました。

初出の話なので思いついた裏話を書き残しておきます。(どうでもいい話ばかりなので、不要な方は読み飛ばしてください!)

6/12に訪ねてくる須賀くん

須賀くんは未だにしぃちゃんにずっと残るような贈り物をできないでいる、という裏設定がありました。お花のアレンジメントやお菓子など、消えるものしかあげていません。生きている間はしぃちゃんといようと決めても、やっぱりまだ自分が死んだあとのことを気にしているようです。次こそアクセサリーをもらえるんじゃないかと期待して、少し落胆して……を繰り返していることも、しぃちゃんが都会で就職することにした一因なのかもしれません。今は一緒にいてくれるだけ、この先もずっと……なんて思い上がってはいけない、と自分に言い聞かせてしまったんだと思います。

川下さん

阿座河神社の中にある過去に失踪した子供たちの名簿から、孫の代が大学生くらいになりそうな人を……と探していて、昭和10年に9歳で失踪したカワシタフミコちゃんから名字をいだきました。マイナス方向へ想像を働かせがちで噂話が好き。阿座河の血を色濃く受け継いだ20歳の女の子です。祖父はフミコちゃんの兄で、次男だったため就職を理由に村から逃げるように✕✕市へ移住し、フミコちゃんによく似ている孫の川下さんをずっと心配していた……という裏設定でした。

しぃちゃんが何となく感じ取っていたとおり、須賀くんをちょっといいな……と狙いつつありましたが、しぃちゃんと接する須賀くんを見て諦めています。一緒に料理していたのは善意半分、しぃちゃんへの当てつけ半分、といったところだと思います。

ちなみにこの料理シーンには発想の元になった曲があります。澤田空海理さんの「ケーキの残骸」です。


「私の愛した偏りは誰かによって直されていた。」という歌詞があり、些細だけれど決定的に傷つくシチュエーションだな、と心に残っていて……。白状できてすっきりしました。

元のプロットでは博物館に就職が決まっている4年生の寡黙な男性もバイトに来て、その会話の中で就職についてや、須賀くんの仕事観について話を広げる予定でしたが、膨らみすぎてしまうので存在ごとカットしました。あと名前が思いつかなかった。ごめんな……。

就職氷河期

どれだけ大変だったのか、色んな資料を当たってみましたが自分の中で落とし込めず、当事者の声が聞きたくて知恵袋で質問したりしました。当事者ではなかったのですが、モデルにした年度の企業や学生のアンケートをまとめた新聞社発表資料を提供してくださった回答者さんがいて、ありがたく参考にさせていただきました。内定に直結するセミナーの時期、企業規模ごとの内定の時期なども分かる資料で、これがなかったら書けなかったと思います。

本編では論がずれてしまうので入れなかったのですが、女性であるというだけで面接に進めない、面接でひどい言葉を投げつけられる、ということが当たり前にあったようです。また家族や交際相手について根掘り葉掘り聞かれたり、今では即ハラスメント認定な面接も横行していたそう。身寄りがないこと、女性であること、どうしようもない部分を何度も否定され、さらに自分の不甲斐なさや罪悪感にも向き合わざるをえないことで、弱っていくしぃちゃんを妄想していました。

佐久間ちゃんと望月さん

佐久間ちゃんパートから始まったこともあり、もっと佐久間ちゃんの都会でのつまづきや乗り越える過程を差し挟みたかったのですが、いかんせん文量が膨大になってきていて、しぃちゃんとの向き合い方の面でしか答えを出せなかったのが力不足を痛感するところでした。

ほんのりもちさくとか但し書きに書きましたが、望月さんの答えは「子供でいていい」。ずっと気にかけている大切な存在ではあるものの、恋愛感情はゼロです。でもあの一言で佐久間ちゃんはとても救われたと思うので、うちのもちさくはこれから少しずつ距離を縮めていくのかなと思っています。「おっさんじゃん」はちょっとだけ男性として意識してます。

お見舞いに来た須賀くん

仕事の忙しさとしぃちゃんに拒絶されたショックで若干セルフネグレクト気味になり、髪が伸びて初期設定のような見た目になっていた須賀くん。新年度になって資料館の仕事の負担が減り、おしゃれな写真館のおじさんに諌められたのもあって元の髪型に戻っています(隈はきっとそのままです)。

熱で朦朧としながら「須賀くんただいま」と言うしぃちゃん。書き始めるよりずっと前から頭の中にあったシーンでした。須賀くんこそが帰る場所であることを、しぃちゃんはまだ気付いていません。でもその一言が、一度決めたら泣きながらでもやり遂げる須賀くん本来の姿を取り戻すきっかけになってほしかった……。

ここで『気になる二人』で出てきた後輩ちゃんの話を差し挟む予定でしたが、話がずれてしまう感じがしてカットしました。辛そうな姿を見て、ランチしながら話を聞いたりしてくれていたようです。佐久間ちゃんに甘えられるようになったしぃちゃんは、須賀くんの話を後輩ちゃんにも打ち明けられるようになりました。あとがきには書いているうちに穏やかな性格になったと書きましたが、訪ねてこない須賀くんに今度こそ静かにガチギレしています……。

阿座河村としぃちゃん

1日目に会ったのは、しぃちゃんがいなかった間の須賀くんを知る人たちです。新しい管理人さんは近隣の大きめの市から嫁いできた人で、よそ者として疎外され気味だった……という設定でした。おっとりしたおばさまで、役場から左遷気味に資料館へと配置換えされましたがあまり気にしていません。

2日目に会ったのはしぃちゃんに居場所があることを示してくれる人たち、そして3日目に会ったのが、しぃちゃんがしたい仕事が実は村の中に見つけられることを示唆する人たちでした。

特に玉置は、リメイク版でしぃちゃんが気付くべき一番核心に近いことを示唆してくれる人物だと思います。だから、最後に背中を押してくれる役目は、どうしても玉置にやってほしかった。もっとじっくりと描けばよかった……と後悔しているシーンでもあります。元のプロットでは滞在中毎日偶然に顔を合わせてしまう、という展開を考えていました。でもそれだと須賀くんが二人の関係を邪推してしまい、また脱線してしまいそうなので今の形になりました。

このあと、しぃちゃんは湖のお店の経営を任せてもらうため、卒業後もう2年都会に残り、大学時代ずっとバイトをしていた飲食店で働きながら専門学校に通い、調理師免許を取得する展開を考えていました。須賀くんとの遠距離はまだ少し続くようです。


おわりに

改めまして、拙作を手にとってくださったみなさま、本当にありがとうございました。そしてまさかここまで読んでくださった方がいたらすみません……。ありがとうございます🥲

連作はまだ書きたいところがあり、これからも少しずつ上げるかもしれません。よかったらまたpixivで読んでいただけたら嬉しいです。

最後に、私を沼に突き落としてくれたリメイク版「霧雨が降る森」、そして7月26日に公開が終了してしまうフリーゲーム版「霧雨が降る森」にも心からの感謝を!ずっとずっと大好きです!!


ふう(風祭)

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