今から○年前、星の綺麗な夜。
ひとりでベンチに腰を下ろし星空を見上げる少女に、バイト帰りの青年が声をかける。こんな時間に女の子がひとりで出歩いては危険だと。また自身の経験から、なにか悩みを抱えているのではないかと。
当時の彼は善人だった。まだ“正義の味方”に憧れ、人助けを志すお人好しであった。しかし、彼はもう“正義の味方”を諦めかけていた。自分の無力さにつくづく愛想が尽きていた。
彼女は旅人だった。もっと危険な夜を何度も過ごしてきており、その心配は必要なかった。しかし、彼女には連れもいなければ帰る場所もない。久々に誰かから受け取ったその優しさをたしかに温もりとして感じていた。
別れ際に彼女は○○を渡す。これは2人を“繋げる”ものだと言う。彼女は彼の優しさを忘れたくなかった。その温もりにまた触れたいがための贈り物だった。
しかし、彼は彼女と出会ったことで完全に“正義の味方”の憧れから降りることを決意する。彼女の悩みは、彼には到底救いようのない話だったからである。彼女が告げた悩みは、彼の抱える無力さにトドメをさしてしまった。
あれから○年後。日々を平穏に過ごしていた青年は正体不明の怪物と遭遇し、不可思議な事件に巻き込まれる。
旅をする少女はその旅に意味を見出し、その先にある理想を目指して旅を続ける。