0 辻愛沙子さんへの注意喚起とそのバックラッシュについて みんなに公開
[トランス差別に関する内容、具体的な表現を含みます。]
経緯
2022年8月7日、株式会社arcaの代表でありクリエイティブディレクター、『「クリエイティブアクティビズム」を掲げ社会課題に向き合うクリエイティブの人。』、『Creative Activist🏳️🌈🇺🇦』(いずれもTwitter bioより引用)を自称する辻愛沙子さんが企画・開催した、ルッキズム、フェミニズム、SRHRをテーマにしたイベントにて、トランス差別的な本が展示されていました。
https://twitter.com/ai_1124at_/status/1556138321335619586?s=20&t=YumjDURVSH0xfWUTqNOTgw
展示されていた「美とミソジニー」はシーラ・ジェフリーズというイギリス出身のトランス差別主義者によって執筆され、日本のGCジャパンというトランス差別主義的な団体によって翻訳された本です。
https://twitter.com/magggart/status/1548580913814335488?s=20&t=YumjDURVSH0xfWUTqNOTgw
腐ったトマトで作ったスープが腐っているように、トランス差別主義者が書いた本はトランス差別的で、精読しなくとも目次を見ればわかるように、トランス女性を女性ではなく 「男」 と説明し、そしてトランスジェンダーは 「ジェンダーを越境するのではなく維持しており」 、 「妻に有害な影響」 があると書いています。
https://www.amazon.co.jp/美とミソジニー-美容行為の政治学-シーラ・ジェフリーズ/dp/476642817X
フェミニズムに関心があり、学びを続けていればこの目次から、この本がトランス差別を扇動する内容であるということはおわかりいただけるはずです。
しかし、『「クリエイティブアクティビズム」を掲げ社会課題に向き合うクリエイティブの人。』であり、トランス差別に反対の立場をとっていらっしゃる辻さんが主催されているイベントなので、きっと何かの間違いで置かれてしまったのではないか、と思い私は注意喚起を行いました。
https://twitter.com/yes_ja_o_ui/status/1556160924515708928?s=20&t=LLp4j_0gKogfLr3adcLpRQ
本の著者と翻訳者の情報をお送りして、取り下げをお願いしました。
返信
2022年8月7日、投稿から7時間以上経過し、イベント自体が閉幕した後にご本人からの返事がありました。声を上げたトランスアライ個々人にリプライする形で謝罪がなされました。
リプライツリーを要約すると:
- 問題の書籍は読んでいない
- 展示した書籍も量が多いので全て読んだわけではない
- リサーチ不足で、書籍の内容や著者の情報を知らなかった
- 自分はトランス差別に反対の立場である
しかし、私たちトランスアライが求めていたのは個々人への謝罪ではなく、全体への該当本の内容の注意喚起とトランス差別反対派であるという意思表示でした。
イベントに参加してあの本を手に取った人たち、辻さんがおすすめしているならきっと勉強になる本なのだと認識した人たち、トランス差別的な本を置いている事で「辻さんはトランス差別派なのだ」と理解した人たち、イベントに行きたかったが攻撃的な本が置かれていることに不安を感じた人たちに、きちんと説明すべきだと考えたのです。
https://twitter.com/yes_ja_o_ui/status/1556293575176245249?s=20&t=LLp4j_0gKogfLr3adcLpRQ
https://twitter.com/yes_ja_o_ui/status/1556591104430321664?s=20&t=pDowtqm8YtHzts5iuMUN-A
その意図を丁寧に説明したにもかかわらず、本人からの返信や迅速な対応は得られず、その代わりに受けたのはトランス差別主義者(TERF=トランス排除主義フェミニストとも呼ばれますが、私にはあの人たちが『フェミニスト』だとは到底思えないので、その表現は使いません。)からの誹謗中傷でした。私だけでなく、他に声を上げたトランスアライも同様です。多くの人が心に傷を負い、アカウントをプライベートにするなどの選択を迫られました。
2022年8月9日、トランスアライが幾度も説明を求めるリプライや、トランス差別主義者たちに誹謗中傷を受けている現状について問題視していないのかを問う引用リツイートをし続けた結果、辻さんからのコメントが到着しました。
長いので要約すると:
- 昨日すでに謝った
- 本は読んでみないと注意喚起できない
- 今までもトランス差別に反対している
- 今週中にLadyKnowsとして声明を出す
との事でした。
- 求めているのは謝罪ではなく全体への注意喚起であること
- 読まなくても目次を見れば差別的な内容であることは一目瞭然であること
- トランス差別に反対している、と言うものの、誹謗中傷に遭っている注意喚起したトランスアライに連帯する姿勢が一切見られないこと
などをお伝えしましたが、そこから2日経った2022年8月11日にも、ご本人からの明確な返事は頂けておりません。
2022年8月11日、辻愛沙子さん名義のアカウントから声明文が出されました。
背景を知らなかったこと、そして通読をせずにおいてしまった運営の無責任さを反省すると共に、本の内容を指摘したツイートへのトランス差別的な攻撃を「注意喚起」する、と書かれています。
ALTをつけていないことへの批判があったものの、本人名義でのアカウントでは修正されることはなく、イベント名義でのアカウントで投稿する形で応答されました。
「こうしている間にも広がるトランス差別を助長するコメントや誹謗中傷は到底看過できないと考え、今週中に投稿させていただくと当初より申し上げていた文章(現在、経緯や対策等の説明および、チーム内で当事者や専門家も交えてとりまとめている、書籍・著者の問題の可視化や注意喚起の文章)を投稿する前に、まずはこのツイートをするに至りました。」
と、本文にある通り、これはあくまでも今週中に発表される「経緯の説明や注意喚起の文章」とは別の取り急ぎのツイートです。しかし、2022年8月12日金曜日の22:30現在、該当の声明は出されていません。
この間にも本を紹介する辻さんの元ツイートは削除されていないため、注意喚起を行った人たちへの差別的な攻撃は続いており、この記事を引用する形での誹謗中傷も起きています。
「トランス差別に反対」とは?
辻さんはトランス差別に反対しているとリプライの中で何度か説明していますが、辻さんをフォローしていた時にTLに流れてきてかなり衝撃的だったのは以下のツイートです。
言葉の印象からは「若い子に自由に自己肯定して生きてほしい」という意味に取れますが、「トランス云々で一気に『男らしさ』『女らしさ』が戻ってきちゃった」=トランスジェンダーのせいでジェンダーロールが強化されてしまった、という事実とは異なるヘイト言説を犬笛として利用している悪質なツイートです。
辻さんがいいねしていたツイートを投稿したアカウントはミサンドリストを自称し、トランス差別的なツイートを繰り返しています。
https://twitter.com/e_ndtw
トランスアライがトランス差別者に苛烈な誹謗中傷を受けていることを放置することで、実質的にトランス差別者への犬笛としている時点で辻さんの自称する「トランス差別に反対」である立場という言葉の信憑性は下がりますが、加えてこのようなツイートを批判的に取り上げるのではなく、いいねすることで差別に加担しているという状態も踏まえると、辻さんにとって「トランス差別に反対」とは一体どういう意味なのか、全く理解できません。
沈黙は加担だ
今回の件でかなりしんどかったのは、トランスフォーブの誹謗中傷よりも、トランスアライであるはずのフォロワーをはじめとする多くの人々の沈黙でした。
辻さんは広告クリエイティブ業界において名の知れた存在なので、商業的にフェミニズムやLGBTQなどの社会問題についてビジネスする同業他社/者は辻さんを批判することができないのでしょうか?
もしこの利害関係が本当ならば、一体何が「フェミニズム」なのでしょうか。それは反差別という「トレンド」をコーティングしたただの金儲けでしかありません。フェミニストやアライを名乗る資格はありません。
特に辻愛沙子さんは "Social Coffee House" という、社会問題について学びを深めるプラットフォームを運用しています。メンバーになるためには月額4000-7000円の参加費を払う必要があります。
https://socialcoffeehouse.arca.tokyo/
このようにトランスヘイトを放置している辻さんが、このようなプラットフォームを運用する資格はないと思います。このサービス内ではトランス差別という日に日に苛烈さを増すトピックについては触れず、触れないことでトランス差別に加担していくのだろうかという不信感が生まれてしまった今、誰がここで安心を感じられるでしょうか。
金儲けのためだけに社会問題を扱っていると思われても致し方ないと言えます。
ただ単純にこの問題に興味がないなら、トランス差別を軽視しています。
Twitterで「トランス」と検索すればその異常さと暴力的な言葉、惨たらしい差別と誹謗中傷まみれになっていることがわかるでしょう。トランスジェンダー当事者はそんな社会を生きているのです。
たかがネットでしょ、Twitter見なければいい、と思うならアメリカのネット掲示板でヘイトを撒き散らし、それが当たり前になってしまった人たちが実際にヘイトクライムを起こした事件を覚えていらっしゃらないのですか。
無視し続けていたインフルエンサー/ビジネスパーソンの皆さんは、ご自身をよく振り返り考えてください。
トランス排除に加担しないためのリンク集
TRANS INCLUSIVE FEMINISM リンク集(日本)
https://transinclusivefeminism.wordpress.com/link-japanese/
はじめてのトランスジェンダー 外部リンク集
https://trans101.jp/2021/10/18/links/