【ノクスケイデン】
　現在はエクリプスによって滅ぼされた世界。元々この世界に存在した人々は優れた科学技術を有しながら、いつ頃からか伝えられた魔法技術をも活用し、自身らの文明にしていた。そうして造られた炎の魔法に核とした人工太陽システム“日輪”を以て、常闇だったノクスケイデンを照らすことに成功。やがて彼らは“科学と魔法を用いた生命創造”に着手。だがその被検体に“日輪”のエネルギーを照射したとき、新生物は確かに誕生した———世界を侵蝕する残虐なるもの“エクリプス”として———間もなく凄まじい勢いで勢力を拡大するエクリプスと戦争になったノクスケイデンの人々は、滅亡しゆく直前に自身らの持つ力や技術の粋を結集させた“原初ノ光”を若い世代に託し、次元跳躍で旅立たせた。
　常闇の世界。現在はエクリプスによって滅ぼされ、その巣窟と化したといわれている。元々この世界に存在した人々は優れた科学技術を有しながら、いつ頃からか伝えられた魔法技術をも取り込んで、自身らの文明にしていた。やがてこれら二つの技術を母体にして電子演算技術複合型魔術言語ネットワーク＝通称“イデア”が形成される。これによって一人ひとりのあらゆる知識・技術・財産(個人の保有すべき財産を除いたもの)が共有ないしは保全されることとなり、バベルは彼らの社会システムの中枢となっていた。だがこうした高度な文明を以てしても尚、数多ある不幸や生きづらさは彼らの社会に存在し続けていた。
そのため自分たちの不完全さを呪った一部のノクスケイデン人は、バイオテクノロジーと魔法技術を掛けあわせた“超越者”たる生命の創造に着手。既存の人がもつ感覚器官やその伝達機構、脳機能などに加え、魔法による特殊なアクセスチャンネルを生得的に持つことで物事に対する多種多様な情報を瞬時に読み取り、それをより知的に、より合理的に活用できる存在への人工進化を目指した。
だが生み出された超越者たち製作者らと既存のノクスケイデン人とは、やがて社会的な軋轢が生まれてしまい、遂には戦争になってしまう。この戦争を終結するため、文明を、世界を滅ぼす兵器として生み出された存在が“エクリプス”である。この本末転倒な経緯を辿って生み出された兵器———エクリプスは、凄まじい勢いで勢力を拡大。遂に滅びゆくこととなったノクスケイデンの人々だが、滅亡しゆく直前にイデアに貯蔵していた自身ら力・存在・技術・叡智の粋を結集———これを“原初ノ光”としてを若い世代に託し、次元跳躍で旅立たせる。それと共にノクスケイデン全てを吹き飛ばすほどの次元消滅爆弾“ケラウロス”を用いてエクリプス諸共消滅した。だが一部のエクリプスはこの爆発に耐え、生き延びていた。

【ルミナス】
400年ほど前のルクスカーデンに現れた女性。ノクスケイデンから空間跳躍魔法でやってきた。“原初ノ光”の一部を携えし者。その知性を以てルクスカーデンに迎え入れられ、その庇護のもと国防や政治面において尽力。“原初ノ光”の存在もあり、彼女が与えた知識や技術はエクリプスへの防衛を始め、魔法と科学による情報通信ネットワークの確立など多様な面で用いられた。またその経験から、炎の魔法の危険性に警鐘を鳴らしていた人物でもある。

【ルセント】
400年ほど前に朝憬市に現れた男性。ノクスケイデンから空間跳躍魔法でやってきた。“原初ノ光”の一部を携えし者。当時の朝憬市に当たる場所はまだ“原初ノ光”を扱える文明レベルに達しておらず、ルセントにとっては選択肢が限られていた。
そのため、彼は“光”を託せる世代が来るまで待つこととし、当該地域において最も空に近い日和ヶ岳(ひよりがたけ)に“光”の一部を“花”として植え、これにまつわる予言をおとぎ話程度に流布した。

【エクリプス】
　ルクスカーデンとは異なる多元世界“ノクスケイデン”からの侵略者。“蝕ム異形”の名の通り、その戦略は、他者の心に抑圧される負の感情に侵食し、苗床として新たな世代を生み出すというもの。またそれによって生まれる悲劇に基づく感情を捕食する存在。
　これがルクスカーデンに攻め込んだ際、当時の国王エドウィンは他国との戦争の調停が終わって間もないころであり、当時の疲弊した国力ではルクスカーデンは滅ぼされることを悟る(基本的にルクスカーデンの戦力は魔法を有する王族———ボイジャーのみであり、対峙するにはエクリプスの数が多大であったことにも依る)。
　エドウィンは三種の神器をもってエクリプスに対抗するも敵わず、国民や魔法を守るために無念のまま王国を丸ごと封印せざるを得なくなる。