心羽との出会い version 3

2021/05/05 21:42 by someone
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心羽との出会い
その日の朝憬市立灯星学館高等学校の福祉学科は社会福祉基礎と生活支援技術が2コマずつ、それと一般教科が1コマずつの授業内容だった。
あ、怠い…起きたくない。
2018年5月ーーー昼には気温が暑く感じる日こそ増えてきたが、まだ日が昇り始めたこの時間は若干肌寒かった。尚更布団の外には出たくない。
スマートフォンのアラームが鳴る。まだ二週間前に買い換えたばかりで、その音色は初期設定のままだ。そのエレクトロな音色が、未だカーテンを閉めきった薄暗い部屋の中に響く。そこにあるのはただの現実。
「あぁ…」
なんであんな面倒な授業を受けてるのかわからないのに起きねばならないのか。少年の嘆きは、その身体を布団の中で蠢かせる。
まあ、何でもいいけどさ…何でもいいか…
いっそ投げやり気味な自我を伴い、少年は微睡みの中10分ほどかけて目を開ける。
スマートフォンの電源ボタンを押し、ディスプレイに点いた明かりを半開きの目で見ると、そのロック画面が表示した通知を確認すべく、意識は徐々に覚醒する。
こうした憂鬱な目覚めが、この時の花森剣人のルーティンだった。
剣人の指はロック解除のパスワードを入力すると、次に最近始めたスマホゲームからの余計な通知をブロックに動く。そして一件のメールの通知をタップし、これを開いた。
差出人の項目は由良、件名の項目には"今日の授業"と銘打たれていた。律儀に件名を打ってメールを差し出す辺り、日頃見る由良貴俊のおおらかなそれとは少々印象が異なるが、その妙な感覚にもやがて慣れたものだった。
本文に目をやりその文面を確認すると、そこに記されていたのは大方予想通りの内容ーーー
「今日の生活指導の授業、小テストがあるらしい。昼までに対策しないか?」

予想通りではあったが、口からは溜め息が零れる。由良が自分を気にかけてくれてのメールであることはわかっていた。だが小テストはクソだりい…
「ゴメン、やる気でない。まあ出るだけ出るわ…気にしてくれてるのに悪い」
「ゴメン、やる気でない。まあ授業は出るだけ出るわ…気にしてくれてるのに悪い」
返信メールの内容としてそれだけ打って送信し、剣人はその身を起こした。      

その日の朝憬市立灯星学館高等学校の福祉学科は社会福祉基礎と生活支援技術が2コマずつ、それと一般教科が1コマずつの授業内容だった。
あ、怠い…起きたくない。
2018年5月ーーー昼には気温が暑く感じる日こそ増えてきたが、まだ日が昇り始めたこの時間は若干肌寒かった。尚更布団の外には出たくない。
スマートフォンのアラームが鳴る。まだ二週間前に買い換えたばかりで、その音色は初期設定のままだ。そのエレクトロな音色が、未だカーテンを閉めきった薄暗い部屋の中に響く。そこにあるのはただの現実。
「あぁ…」
なんであんな面倒な授業を受けてるのかわからないのに起きねばならないのか。少年の嘆きは、その身体を布団の中で蠢かせる。
まあ、何でもいいけどさ…何でもいいか…
いっそ投げやり気味な自我を伴い、少年は微睡みの中10分ほどかけて目を開ける。
スマートフォンの電源ボタンを押し、ディスプレイに点いた明かりを半開きの目で見ると、そのロック画面が表示した通知を確認すべく、意識は徐々に覚醒する。
こうした憂鬱な目覚めが、この時の花森剣人のルーティンだった。
剣人の指はロック解除のパスワードを入力すると、次に最近始めたスマホゲームからの余計な通知をブロックに動く。そして一件のメールの通知をタップし、これを開いた。
差出人の項目は由良、件名の項目には"今日の授業"と銘打たれていた。律儀に件名を打ってメールを差し出す辺り、日頃見る由良貴俊のおおらかなそれとは少々印象が異なるが、その妙な感覚にもやがて慣れたものだった。
本文に目をやりその文面を確認すると、そこに記されていたのは大方予想通りの内容ーーー
「今日の生活指導の授業、小テストがあるらしい。昼までに対策しないか?」

予想通りではあったが、口からは溜め息が零れる。由良が自分を気にかけてくれてのメールであることはわかっていた。だが小テストはクソだりい…
「ゴメン、やる気でない。まあ授業は出るだけ出るわ…気にしてくれてるのに悪い」
返信メールの内容としてそれだけ打って送信し、剣人はその身を起こした。