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心羽の日記③
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これは日記ではなく、ボイジャーの魔法を科学的に紐解いた論文の一節の引用である。現時点ではこの理論を証明する方法はなく、出典もわかっていないため、信憑性は限りなく低い。 …正直、私は全く信用していない。 ボイジャーは素粒子よりも小さなサイズで空気中に無数に存在するエネルギー粒子、“ルーノン”を操る。 ルーノンは異なる次元を行き来する性質を持ち、ボイジャーの発する声や身振り手振りなどに反応して量子の世界に干渉し、無と有が入れ替わる量子ゆらぎを操作して高次元への扉を開き、既存の物理法則を超えた5次元宇宙の物理学を現実世界に適用する。 人間には光粒子が運んできた情報を捉える感覚(視覚)があるように、ボイジャーにもルーノンの情報を捉える感覚(空覚)が存在し、人間が2×3=6だと直感で理解できるように、ボイジャーもルーノンを介した魔法の操作を直感で行う。人間が自転車の乗り方を日々の練習や指導でコツを掴み、より速く、より上手になるのと同じように、ボイジャーも日々の鍛錬や指導で魔法の才能を高める。 度々登場する「魔力」という表現は、その一帯にあるいつでも使えるルーノンの量を表す。 ルーノンは太陽風に乗って全宇宙にほぼ満遍なく行き届いており、魔法を使える環境は基本的に整っているため、空覚がなくてもそれを補う手段があれば人間でも魔法を使えるようになるだろう。 ただし、大規模な魔法を使うとその一点にルーノンが集中し、周囲一帯の魔力が低下する。 この現象は4年前に惑星規模で起こっており、その中心地が地球の朝憬市である。
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