・経緯
「…いいよ。私、もう死んでもいい……あの時、明日に希望を抱いたのが、間違いだったんだね……」
言いながらもだんだんと涙声になり、声がかすれていく。
涙が溢れて止まらなくなる。
「今楽にしてやる」
カイルスは剣を引き抜いて弓音に接近する。
「間違いじゃない!」
その言葉と共に、弓音の胸元が光り、光の粒子を纏って心羽が現れた。
「あなたが夢見たことも、あなたが願ったことも、全部ぜんぶぜーんぶ、間違ってなんかない!」
「たとえそれが嘘でも、私が覆してみせる」
心羽は弓音の方を向き直り、弓音の目を見て言った。
「私ね、あなたの心の中にいたんだよ。だから、全部わかったの。ずっとずっと、傷ついて、辛い思いをして。誰にも分かってもらえなくて、寂しかったことも。こうして一緒になれた今だから、よくわかる。それは間違いじゃない」
弓音は視線を下げたままだが、その目には涙が溢れていた。
「これからは私がそばにいる。ずっとあなたの味方でいる。だから、私の友達になってくれかないかな」
弓音は返す言葉が出てこないが、その首をコクンと縦に振った。
「…悪いが、今の言葉は嘘になる」
カイルスが横槍を入れる。
「絶好の機会だからな。ここで心羽を倒す」
心羽は再びカイルスの方を向き、告げる。
「私は死なない———弓音ちゃんにはるちゃん、それに使者の仲間たちや街の人たちが、私を必要としてくれてる———だから、絶対に負けない!」
強い口調で言い放つ。
「心羽ちゃん!」
弓音が、心羽のペンダントを渡す。
そのペンダントには、弓音が言葉にできなかった心羽への想いがカルナとして綴られていた。それを第六感で受け取り、心羽は嬉しくなる。
「ありがとう!」
その瞬間、2人のペンダントが強い輝きを放った。
「いまのは…昇華…?」
ペンダントに刻まれたWING Vの文字を確認すると、弓音を誘い、2人で変身した。それを見てカイルスも変身する。
カイルスが楔の着いたロープを投げ心羽に先手を撃つが、心羽は強化された動体視力で見切り、楔を弓の先端で弾く。
カイルスはマシンガンに切り替え、心羽に乱射するが、心羽が大きな翼でその身を覆うと、弾丸は全て翼に当たり跳ね返ってしまう。
しかし、心羽が翼を畳んだ瞬間、カイルスは既に心羽の目の前に来ていて、槍で直接攻撃を仕掛ける。心羽は対応しきれず、攻撃を受けそうになったが…
炎の鳥が横から激突し、カイルスの体制を崩した。その鳥を操っていたのは弓音だった。
その隙に弓音が心羽の手を握ると、二人は息を合わせて飛び上がり、空中で巨大な鳳凰へと変貌した。鳳凰は地上からの攻撃を一切受け付けず、身を焦がしながらカイルスに向かって一直線に降下していく。
直撃を避けられなかったカイルスは大きく吹き飛ばされ、分が悪いと判断しそのまま撤退した。
・概要
弓音クリミナルの特性をそのまま、心羽と弓音が昇華して引き継いだ形態。
それぞれ、心羽はWING V、弓音はBIRD IIである。
・能力
2人のカルナが同調しているため、二人共変身中に限り2人はカルナで意思の疎通ができる。それにより会話をせずとも息をぴったりに揃えられる。
巨大な鳥に変身する能力はないが、2人が手を繋ぐことで一羽の巨大な鳳凰へと二段変身できる。
2人ともが弓音クリミナルの特性を引き継いでいるため、弓音が心羽の、心羽が弓音の技を使うことも可能。例にあげると、
・心羽の翼が硬くなり、防御に使えるように
・心羽の視聴覚が強化
・弓音が炎の鳥を操る
など。