これはモルが作成した手記ではなく、モルが生み出した世界観や設定そのものに対する考察である。
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モルは自身の人格から3人のキャラクターを作り出し、それぞれに星がモチーフの名前を充てている。
1人目は燎星心羽。燎星には燃え、煌めく星という意味があり、シンプルに言えばそれは“恒星”、すなわち太陽の事を指している。そこに存在するだけで幾万の生命を育み、幾千の文明を栄えさせてきた太陽。そんな太陽の様に明るく、絶対的で、皆に希望の光をもたらす者。それが燎星心羽のイメージ人格であり、“モルの理想”を司るスター=英雄。同じく太陽を名前に宿す日原望結とは何かと共通点がある。
2人目は朝憬弓音。朝憬も同じく太陽の意味を持つ言葉だが、朝憬が示すのは“明日の”朝陽であり、未だ明けぬ夜空にいつか明けることを夢見て待ちわびる者。いつも空を見上げて現実逃避し、希望の光に照らされることをただ祈り続ける者。それが朝憬弓音のイメージ人格であり、“モルの不器用と自己嫌悪”を司っている。
3人目は月野莉音。月は照らされない影の部分を持ちながらも、夜の闇の中で静かに輝き、夜明けを待つ人々に優しく寄り添う。
月は太陽から受け取った光を反射して届ける。自分1人では輝けないが、他者に支えられながら柔らかく輝き、また他の誰かの支えとなる姿こそが月野莉音のイメージ人格であり、“モルの現実”をありのままに映し出している。