子供のころからずっと東京の東側に住んでいる。正確にいうと大学から社会人になってしばらくの間は訳あって千葉県に住んでいたけれども。出身はどこ、と聞かれたら東京と答えることになる。幼いころに買い物でよく連れて行かれたのは日本橋だったような。今はなき東急百貨店と、髙島屋と。たまに三越にも行っていたかな。日本橋の橋を渡って、ちょっと遠いのだった。そもそも浅草線の駅名が日本橋でなかった。まだ江戸橋という名前の駅だった、そんな時代。

だから山手線の西側にはなかなか馴染みがない。新宿より向こう側とか、渋谷より向こう側とか。もうはるか彼方という感じなのだ。中野とか三鷹は総武線の行き先で見かけていたので何となく親近感がある。でもそれぐらいで、あとは本当に縁がないのでそっちの方にも人が住んでいるのだなあ、という感覚でしかなかったような記憶がある。今はそんなこと思わないのにね。子供の感じる世界の広さなんて、そんなものだ。

今も東側に住んでいるので、日本橋や銀座、上野や秋葉原はふらっと普段着で行く場所だ。なかなか用事がないと新宿とか渋谷には、行かない。東京、存外広いのだった。