これは私たちが紡いだ希望の物語 No.1 アバン 【B】 version 41
これは私たちが紡いだ希望の物語 No.1 アバン (改修中)
その日、人の心に巣食う怪物らの蜂起によって、少女と青年の世界——朝憬市(あかりし)は壊されようとしていた。街や人の様相は未だ日常のそれだが、日食によって暗く染まった太陽が確かに朝憬市を見下ろす。朝憬市中心街北東と南西でそれぞれ敵の襲来に備える少女と青年は、その光る闇色を睨むように見つめた。少女は暗い太陽に自身が過去に負った”傷”を想起するも、上空の異変に天を仰ぐ街路の人々へ、広く注意を払って歩く。敵の存在をいち早く察知し、起こり得る悲劇を止めるために——。
「——私が、皆の希望になるんだ」
南西の青年もまた、少女と同様に街の広場から周囲の人間の様子を探る。あどけない彼女の横顔を思い、そこに陰りを落とす敵への怒りが、沸々と煮え滾る。周囲に気取られる前に視線を下に逸らし、その身を静止して誤魔化しこそするが、青年の目は強い殺気さえ宿っていた。ただ、あの美しく優しい人を脅かすものを屠るために——。
「——人の希望たろうとするあの子を、もう泣かせたりしない」
少女と青年の決意と時を同じくして、黒いゴシック系の出で立ちの男女が朝憬駅前の大規模交差点を歩いていた。その黒い礼服とドレス、陶器のような白い肌のコントラスト、そしてその虚ろな眼差しは、上空に異様さがある中でもいくらか周囲の人間の目を引いた。
「なにアレ?やばくない?」
「キモいんだけど、ウケる」
そう反応する人々と目が合っても、二人は眉一つ動かさない。男が薄ら笑いを浮かべたのは、交差点の中央で立ち止まり周囲と暗い太陽を見渡した時だった。女は黒い日傘の下で無表情で男に問う。
「…そろそろ、始めるか?」
「ああ、儀式には足りるだろう」
男は掛けていたスクエア型の眼鏡を上げて返答した。見開かれたその眼球は全て黒く染まっている。女もチョーカーのついた自身の首元を撫で、やはりその目の全てを黒く染めた。
「なら、やろう」
女が告げたと同時に男女の身体を黒い靄が包み、その姿が異形の存在へと変わっていく。男の顔には鋭く釣り上がったカマキリの双眼が伸び、変化した剛腕には大鎌を携えていた。女は右腕をバラの蕾を模した槍へと変化させ、赤黒い姿に花びらの衣装を纏う。瞬間、その場に居た者は皆この異形らから距離を取った。だが同時にスマートフォンのカメラ機能で彼らを撮影するシャッター音も鳴る。バラの異形が注意を向けたその音の先では、金髪の若者がスマートフォンを向けていた。
「すげえ、アンタら例の怪…」
「煩わしい羽虫だ」
「…あぁ?」
言葉を遮られた若者はバラを威嚇するが、次の瞬間には若者の腹を花の槍が貫き、その血が交差点のアスファルトを赤黒く染める。その様に周辺の人間の上げた悲鳴が、交差点に響き渡った。
パニック状態の中、方々へ逃げる人たちの慌てふためく声が朝憬駅一帯に響く。だがその向こうから先の交差点に向け、それぞれ人の波に逆らい駆ける少女と青年の姿がそこにあった。少女の右手、そのブレスレットに宿る彼女の従者が、この混乱状態を受けて主人へ警鐘を鳴らす。
「人が多い…お嬢様、如何なさいます!?」
「このまま変身する!」
「本気ですか!?」
疾走と共に、赤い髪と学生服を靡かせて言う少女に、ブレスレットの従者がその驚愕の声を上げた。既にブレスレットが胸元に寄せられ、鳥を象った赤い宝石に左手が触れている。
少女の対方向を駆ける青年も懐のネックレスを取り出した。駆けながらそこに結ばれた天体を模したキーホルダーを握った瞬間、彼の内に在る存在——居候から忠告が飛んできた。
「後でどうなっても知らんぞ」
「後を考える余裕あるか?お前も構えろ!」
青年は居候に皮肉を返し、少女も従者に指示を告げる。
「交戦に入るタイミングで、あなたも出てきて!」
「承知!」
そして少女が叫ぶようにその呪い(まじない)詠唱し、青年はキーホルダーを握る右手に念を込めた。その瞬間、日食を起こしていた空が晴れ上がり、人々が一様に顔を上げた。
「チェンジ、フレイミングドレス!」
その時、二人の身体から光が発し、その構成が変わっていく。少女の髪は更に燃えるような赤となり、薄紅と深紅で彩られた羽衣を魔法による神秘と纏った。青年もまた甲虫を思わせる面、そして装甲を右腕と両脚に備え、両手に双剣を携える。
人々が太陽に気を取られている間に変身した二人は、そのまま走りゆく中で怪物らを薙ぎ払い、司令塔たるカマキリとバラの二体が暴れる交差点にたどり着く。今まさに逃げ遅れた人を手にかけようとしている二体を阻止すべく、攻撃を仕掛けた。
「イグニス・レッドアロー!」
その背に翼を宿して飛翔した少女が、携えた弓矢に炎の魔法を付与し、バラに向けてその矢を放つ。同時に甲虫となった青年が跳躍と共に掛け声を上げてカマキリへと剣を振り下ろした。二体は瞬時に矢と剣戟の直撃を避けるべく防御態勢を取る。間髪入れずに少女が声を張った。
「早く逃げて!」
「あ…」
すぐそこまで迫っていた脅威に対し、逃げ遅れた若い女性は未だ身を竦ませる。しかしそちらに攻撃が向かうことは、二人の内から飛び出した少女の従者である火の鳥と、青年の内の居候である白い鴉の異形が許さなかった。白鴉の大きな身体から繰り出される太刀とカマキリの大鎌が打ち合い、その閃きが交錯する。
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###### //改修中失礼します!モルです。リュミエから始めるのはまだ良し悪しの判断がつかないけど、意図があるなら聞いてみたい…。改修中とのことなので評価は一旦置いておきます。また一部表現を追加したので、より自然な文章となるよう調整をお願いしてもいいでしょうか…?
###### //ギルです。文章は殆ど改修しないで済みました。リュミエから始めたのは、主人公としての彼女を印象付けたかった。それと、他にもいくつか変えたけど、それは話のテンポを最初から上げて、読者を引き付けたかったからかな?でも、書き方に囚われて書いてしまってた文章かもしれないし、モルにとって違和感があれば、リュミエから始める部分は控えるよ
###### //モルです。主人公としての彼女…ということなら、同じ主人公の健人も印象付けていいのかも…? 違和感はあるけど、それは悪い違和感じゃなくていい違和感かもしれないから、リュミエから始まる部分は一旦保留でお願いします!
###### //ギル、ようやくまた書いてます…リュミエから始まるくだりは、すみません。リーンサイドを追加してみてしまいました(;'∀')でも、リュミエからの文章はバックアップとってますので、ご安心を。
それと、微細ですがいくらか直して、ほんのちょっと進んでみてます。###### //ギル、ようやくまた書いてます…リュミエから始まるくだりは、すみません。リーンサイドを追加してみてしまいました(;'∀')でも、リュミエからの文章はバックアップとってますので、ご安心を。それと、微細ですがいくらか直して、ほんのちょっと進んでみてます。
その日、人の心に巣食う怪物らの蜂起によって、少女と青年の世界——朝憬市(あかりし)は壊されようとしていた。街や人の様相は未だ日常のそれだが、日食によって暗く染まった太陽が確かに朝憬市を見下ろす。朝憬市中心街北東と南西でそれぞれ敵の襲来に備える少女と青年は、その光る闇色を睨むように見つめた。少女は暗い太陽に自身が過去に負った”傷”を想起するも、上空の異変に天を仰ぐ街路の人々へ、広く注意を払って歩く。敵の存在をいち早く察知し、起こり得る悲劇を止めるために——。
「——私が、皆の希望になるんだ」
南西の青年もまた、少女と同様に街の広場から周囲の人間の様子を探る。あどけない彼女の横顔を思い、そこに陰りを落とす敵への怒りが、沸々と煮え滾る。周囲に気取られる前に視線を下に逸らし、その身を静止して誤魔化しこそするが、青年の目は強い殺気さえ宿っていた。ただ、あの美しく優しい人を脅かすものを屠るために——。
「——人の希望たろうとするあの子を、もう泣かせたりしない」
少女と青年の決意と時を同じくして、黒いゴシック系の出で立ちの男女が朝憬駅前の大規模交差点を歩いていた。その黒い礼服とドレス、陶器のような白い肌のコントラスト、そしてその虚ろな眼差しは、上空に異様さがある中でもいくらか周囲の人間の目を引いた。
「なにアレ?やばくない?」
「キモいんだけど、ウケる」
そう反応する人々と目が合っても、二人は眉一つ動かさない。男が薄ら笑いを浮かべたのは、交差点の中央で立ち止まり周囲と暗い太陽を見渡した時だった。女は黒い日傘の下で無表情で男に問う。
「…そろそろ、始めるか?」
「ああ、儀式には足りるだろう」
男は掛けていたスクエア型の眼鏡を上げて返答した。見開かれたその眼球は全て黒く染まっている。女もチョーカーのついた自身の首元を撫で、やはりその目の全てを黒く染めた。
「なら、やろう」
女が告げたと同時に男女の身体を黒い靄が包み、その姿が異形の存在へと変わっていく。男の顔には鋭く釣り上がったカマキリの双眼が伸び、変化した剛腕には大鎌を携えていた。女は右腕をバラの蕾を模した槍へと変化させ、赤黒い姿に花びらの衣装を纏う。瞬間、その場に居た者は皆この異形らから距離を取った。だが同時にスマートフォンのカメラ機能で彼らを撮影するシャッター音も鳴る。バラの異形が注意を向けたその音の先では、金髪の若者がスマートフォンを向けていた。
「すげえ、アンタら例の怪…」
「煩わしい羽虫だ」
「…あぁ?」
言葉を遮られた若者はバラを威嚇するが、次の瞬間には若者の腹を花の槍が貫き、その血が交差点のアスファルトを赤黒く染める。その様に周辺の人間の上げた悲鳴が、交差点に響き渡った。
パニック状態の中、方々へ逃げる人たちの慌てふためく声が朝憬駅一帯に響く。だがその向こうから先の交差点に向け、それぞれ人の波に逆らい駆ける少女と青年の姿がそこにあった。少女の右手、そのブレスレットに宿る彼女の従者が、この混乱状態を受けて主人へ警鐘を鳴らす。
「人が多い…お嬢様、如何なさいます!?」
「このまま変身する!」
「本気ですか!?」
疾走と共に、赤い髪と学生服を靡かせて言う少女に、ブレスレットの従者がその驚愕の声を上げた。既にブレスレットが胸元に寄せられ、鳥を象った赤い宝石に左手が触れている。
少女の対方向を駆ける青年も懐のネックレスを取り出した。駆けながらそこに結ばれた天体を模したキーホルダーを握った瞬間、彼の内に在る存在——居候から忠告が飛んできた。
「後でどうなっても知らんぞ」
「後を考える余裕あるか?お前も構えろ!」
青年は居候に皮肉を返し、少女も従者に指示を告げる。
「交戦に入るタイミングで、あなたも出てきて!」
「承知!」
そして少女が叫ぶようにその呪い(まじない)詠唱し、青年はキーホルダーを握る右手に念を込めた。その瞬間、日食を起こしていた空が晴れ上がり、人々が一様に顔を上げた。
「チェンジ、フレイミングドレス!」
その時、二人の身体から光が発し、その構成が変わっていく。少女の髪は更に燃えるような赤となり、薄紅と深紅で彩られた羽衣を魔法による神秘と纏った。青年もまた甲虫を思わせる面、そして装甲を右腕と両脚に備え、両手に双剣を携える。
人々が太陽に気を取られている間に変身した二人は、そのまま走りゆく中で怪物らを薙ぎ払い、司令塔たるカマキリとバラの二体が暴れる交差点にたどり着く。今まさに逃げ遅れた人を手にかけようとしている二体を阻止すべく、攻撃を仕掛けた。
「イグニス・レッドアロー!」
その背に翼を宿して飛翔した少女が、携えた弓矢に炎の魔法を付与し、バラに向けてその矢を放つ。同時に甲虫となった青年が跳躍と共に掛け声を上げてカマキリへと剣を振り下ろした。二体は瞬時に矢と剣戟の直撃を避けるべく防御態勢を取る。間髪入れずに少女が声を張った。
「早く逃げて!」
「あ…」
すぐそこまで迫っていた脅威に対し、逃げ遅れた若い女性は未だ身を竦ませる。しかしそちらに攻撃が向かうことは、二人の内から飛び出した少女の従者である火の鳥と、青年の内の居候である白い鴉の異形が許さなかった。白鴉の大きな身体から繰り出される太刀とカマキリの大鎌が打ち合い、その閃きが交錯する。
//改修中失礼します!モルです。リュミエから始めるのはまだ良し悪しの判断がつかないけど、意図があるなら聞いてみたい…。改修中とのことなので評価は一旦置いておきます。また一部表現を追加したので、より自然な文章となるよう調整をお願いしてもいいでしょうか…?
//ギルです。文章は殆ど改修しないで済みました。リュミエから始めたのは、主人公としての彼女を印象付けたかった。それと、他にもいくつか変えたけど、それは話のテンポを最初から上げて、読者を引き付けたかったからかな?でも、書き方に囚われて書いてしまってた文章かもしれないし、モルにとって違和感があれば、リュミエから始める部分は控えるよ
//モルです。主人公としての彼女…ということなら、同じ主人公の健人も印象付けていいのかも…? 違和感はあるけど、それは悪い違和感じゃなくていい違和感かもしれないから、リュミエから始まる部分は一旦保留でお願いします!
//ギル、ようやくまた書いてます…リュミエから始まるくだりは、すみません。リーンサイドを追加してみてしまいました(;'∀')でも、リュミエからの文章はバックアップとってますので、ご安心を。それと、微細ですがいくらか直して、ほんのちょっと進んでみてます。