6.5.白銀と薬指 version 4

2023/07/21 15:27 by someone
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6.5
 「プロテクト…!」
溢れ出る力の渦に対し、黒コートが弾かれたように加速し、その中心にいる健人目掛けて十字架の槍を突きだし、刺し貫く。そしてそこから横一文字に斬り裁いた。
しかしそこに健人は居らず、黒コートが後方を仰ぎ見れば、沢村に馬乗りになっていたサクラは既に"破壊"され、塵となって消えていった。健人の姿は白銀のそれへと変わっており、右手に携えられた光輪が、その力を紅く明滅させている。
黒コートと白銀の健人の視線が交錯する中、
 「プロテクトか…!」
溢れ出る力の渦に対し、黒コートが弾かれたように加速し駆け出すと、その渦の中心にいる健人目掛けて十字架の槍を突きだし、刺し貫く。そしてそこから横一文字に斬り裁いた。
しかしそこに健人は居らず、黒コートが後方を仰ぎ見れば、沢村に馬乗りになっていたサクラは既にその胸部を貫かれて"破壊"され、塵となって消えていった。そこに居たのは白と赤に彩られた衣と、銀の装備、そして面を纏った男。腕に携えたトンファーを思わせる武器が、その力を紅く灯している。
直後に白銀はトンファーを虚空に消し、絶望と痛みに生気を失くした沢村の身体を抱えると、腰に携えたキーホルダー状の魔道具で左手で握った。
「花森、さん…?」
「喋らんとき。応急処置じゃ…アンタの心までは、すぐ治せんが」
そこから浮かぶ淡い光を、その手で以て沢村の身体に当てれば、彼の負った傷が癒えていく。
「貴様…!」
それを見た黒コートの姿が、山羊を思わせる異形の悪魔へと変わった。そして槍を振り上げて一閃。巨大な暗い光の衝撃波を飛んでくる。
「無粋な奴じゃな!」
対する白銀は今一度左手にトンファーを携え、即座に拳を打ち出してその圧を飛ばした。直後に互いに打ち出した力が相殺され、欠き消えていく。その向こうで悪魔が吠えた。
「無粋はこちらの台詞よ!下らん術式風情が!」
投げ掛けられた言葉に、白銀は不服と鼻を鳴らしながらも、沢村を抱えたまま、戦慄にあった初樹を呼ぶ。
「そこの兄ちゃん、この人連れて早う下がれ!」
「花っち…?」
駆け寄る初樹は、一瞬白銀の姿を凝視しながら花森健人の名を口にするも、白銀はそれを一蹴してこう名乗った。
「俺はネーゲル。説明は後じゃ!」
それだけ告げた白銀は、沢村の腕を初樹の肩へ回し、走らせようとする。その時だった。
「させるか!」
悪魔が吠え、ネーゲルたちの元へ突進する。対するネーゲルは即座に反応すると、白と赤の衣を翻して前進し、トンファーを携えて振るわれる槍を防ぐ。そしてそのまま激しい打ち合いに持ち込んだ。
「やってくれたな…あと一歩で食めたんだが」
「いや、どうも気に入らんでな。その展開」
      

「プロテクトか…!」
溢れ出る力の渦に対し、黒コートが弾かれたように加速し駆け出すと、その渦の中心にいる健人目掛けて十字架の槍を突きだし、刺し貫く。そしてそこから横一文字に斬り裁いた。
しかしそこに健人は居らず、黒コートが後方を仰ぎ見れば、沢村に馬乗りになっていたサクラは既にその胸部を貫かれて"破壊"され、塵となって消えていった。そこに居たのは白と赤に彩られた衣と、銀の装備、そして面を纏った男。腕に携えたトンファーを思わせる武器が、その力を紅く灯している。
直後に白銀はトンファーを虚空に消し、絶望と痛みに生気を失くした沢村の身体を抱えると、腰に携えたキーホルダー状の魔道具で左手で握った。
「花森、さん…?」
「喋らんとき。応急処置じゃ…アンタの心までは、すぐ治せんが」
そこから浮かぶ淡い光を、その手で以て沢村の身体に当てれば、彼の負った傷が癒えていく。
「貴様…!」
それを見た黒コートの姿が、山羊を思わせる異形の悪魔へと変わった。そして槍を振り上げて一閃。巨大な暗い光の衝撃波を飛んでくる。
「無粋な奴じゃな!」
対する白銀は今一度左手にトンファーを携え、即座に拳を打ち出してその圧を飛ばした。直後に互いに打ち出した力が相殺され、欠き消えていく。その向こうで悪魔が吠えた。
「無粋はこちらの台詞よ!下らん術式風情が!」
投げ掛けられた言葉に、白銀は不服と鼻を鳴らしながらも、沢村を抱えたまま、戦慄にあった初樹を呼ぶ。
「そこの兄ちゃん、この人連れて早う下がれ!」
「花っち…?」
駆け寄る初樹は、一瞬白銀の姿を凝視しながら花森健人の名を口にするも、白銀はそれを一蹴してこう名乗った。
「俺はネーゲル。説明は後じゃ!」
それだけ告げた白銀は、沢村の腕を初樹の肩へ回し、走らせようとする。その時だった。
「させるか!」
悪魔が吠え、ネーゲルたちの元へ突進する。対するネーゲルは即座に反応すると、白と赤の衣を翻して前進し、トンファーを携えて振るわれる槍を防ぐ。そしてそのまま激しい打ち合いに持ち込んだ。
「やってくれたな…あと一歩で食めたんだが」
「いや、どうも気に入らんでな。その展開」