遥香より一歩前にでて、公園では使えなかったペンダントを目の前の影魔に見せつけるようにかざす。
ジャヌス「それは魔除けの石じゃない。そんなので俺が怖がって逃げると思うか?」
心羽「これは夢の続きを見せてくれる…まだ私の夢は終わってないから…!」
願い通りのためここでペンダントは輝きを放つ。
眩しくて思わず目をつぶり、顔を左に逸らしてペンダントを持つ右手を下ろすと、足下から炎が流れるように上ってくる。
その炎が衣服を無視して肌を撫でる。炎だけど熱くはなく、ほどよく温かみを感じる。
次第に衣服を着ている感覚がなくなり、焦って目を開けると自分の身体は炎に覆われ、軽くて柔らかい羽衣を纏っている。
右手に持っていたはずのペンダントはいつの間にかなくなっている。
絶え間なく自分の周囲をめぐる火流は熱のある明るさを持ち、自身と外界を隔てるその向こうに、光に眩しがる影魔の姿を捉える。
しかし心羽の視力はもう使者のものになっているようで、心羽にとってこの炎は明るいけれど眩しくはない。
気付けば自身の周りを流れる炎は自分の意思に呼応するようになっていて、心羽は五感のどれでもない、新しい6つめの感覚を自覚する。言葉では言い表せないが、炎のような明るさと温かさを感じるその感覚で、炎を編集して弓を形成する。
できたばかりで宙に浮いているそれを左手で取り、周囲に流れる炎を右手に収束させて矢を作る。