「こっちゃん!すごいよ!それどうしたの?!」
「はるちゃん、ほっぺ、つねって」
「痛いよ?」
「いたっ」
「ほらやっぱり」
「…やっぱり、夢じゃないんだ」
「そうだね」
言いながら遥香も自分の頬をつねる。
「いたた…」
「お嬢さん、大丈夫かね」
「今の魔法、どうやったの?」
「すごいな…あの子、影魔を退治したぞ」
気付くと周りには人が集まっていた。
そうだ…はるちゃんだけじゃない、そこにいるたくさんの人が見守ってくれていたんだ。
「えっと…その、私…」
大勢を巻き込んだことに躊躇する。
「何にせよ、助かったぞ。お前さんのおかげで街は救われた」
その言葉に心羽は救われた。その一言が嬉しかった。
心羽の内にある焦りが自信へと変化した。
「周囲に影魔が出ています!ただちに避難を!」
「遅かったね、影魔は退治されたよ」
隊「事情をお伺いしたい」
「私が、この手で影魔を退治しました。」
「そんな馬鹿な」
「ほんとです。私もこの目で見ました」
遥香に続き、見ていた者たちがそうだと続く。
「そうか…一旦信じるとしよう。だが、一体どうやって退治したんだ?」
「この魔法の力を持つペンダントを使って。」
「ふむ、これは……。書記官、このペンダントを写映してくれ」
「はっ」
書記官が片手に手帳を開き、写映の揮石を取り出すとそれを振ってみせた。すると揮石から溢れ出た光が、ペンダントの姿を忠実に手帳に書き写した。
「では、この資料は持ち帰らせてもらう。影魔を追い払える魔法のペンダントともなれば、我々もその力が必要になってくるからな」