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モルの手記⑭ 魔法
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エクリプスがなぜ人を襲うか。 なぜ彼らは人々を利用しなければならないか。 それはひとえに絶望こそが彼らの力の源だからだ。 彼らは絶望から力を見出し、絶望を骨組みにして自分を形作る。 絶望のない世界で彼らは生きられない。 それは即ち、人の絶望にはエクリプスを生み出すだけの力があることを意味する。 彼らが扱う魔法という力の本質は、そこにある。 魔法を持つのはエクリプスではない。人々だ。 彼らはそれを借り受けているに過ぎない。 魔法は普遍的に誰もが持つものだ。 人々はこれまで、信仰という形で魔法を操ってきた。 自分たちで魔法が使えない人々は、信じる心ひとつで、そこに神仏や精霊を創りあげ、それらに祈り、あるいは自身にその存在を宿し、魔力を託した。 信じる心こそが彼らの持つ魔法の根源と言えるだろう。 リュミエ、それはお前にも同じことが言える。 私達は魔法が使える血筋として生まれてきたが、私が魔法の力を振るえるのはそれだけが理由ではない。 国の民が私を信じ、希望を託してくれるからこそだ。 人々の願いこそが私の力の源であり、私は民から受け継いだその力で民を守り抜く。 それがこの国の希望の象徴たる、私の努めだ。 いいかリュミエ。 信じる心がお前に向けられた時、それが魔法となってお前を助けてくれる。 共に生き、支え合い、相手を信じるのだ。 そして人々の希望となれ。
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