『エクリプス』
外宇宙からとある世界の地球——西暦2018年日本の朝憬市に、密かに飛来した存在。知的生命体の絶望感などの負の感情を捕食しその数を増やしていく。
エクリプスの活動は隠密性が高く、的確に標的とした個人を狙う。また社会的な群体を形成しつつ、人の視界から突然と消える特殊な魔術を有し、上位の個体は人間に擬態し人間社会に紛れる。
標的への攻撃・捕食行為については、エクリプスの有する特殊な捕食器官による精神への侵食が主であるが、その活動プロセスとして以下がある。
①負の感情を強く有する者から、苗床となり得る標的を選ぶ。
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②各エクリプス個体の能力を用いて標的の精神を絶望感で満たす。
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③標的から発露した絶望や負の感情を一部補食する。それと同時にエクリプスの持つ因子を埋め込み、苗床とする。
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④程なく苗床の絶望を糧に新たなエクリプスが生まれる。
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⑤生まれたエクリプスは、苗床の持つ心象に影響した姿を象り、その絶望に由来する能力を持つ。そうして新たなエクリプスはまた人の絶望を補食していき、その後は更に新たなエクリプスを生み出せるようになり、①に戻る。
エクリプスは苗床を選ぶ際、誰が絶望させやすそうか、どう行動したらより大きな絶望にできるか等を吟味しながら選ぶ。苗床が既に絶望している場合は、上記プロセスを一部省ける。
苗床の絶望が大きければ大きいほど新たに生まれてくるエクリプスは強い個体となるほか、能力や性格にも苗床の絶望が強く反映される。また、強いエクリプスほど強い個体を生み出すことができる。
エクリプスの強さの3要素:親エクリプスの強さ、宿主の絶望の大きさ、これまでの破壊活動で生み出した絶望の量。
生まれたばかりのエクリプスの行動は苗床の絶望をモデルにし、宿主に似たパターンの絶望を周囲に与える。絶望はエクリプスを成長させる糧となり、純粋な力だけでなく知識や経験も身に付いていく。
※少なくとも作中序盤は人前で派手に暴れる描写は稀有なイメージ。また、リュミエ或いはエウィグはその魔術で感覚を研ぎ澄ませてエクリプスの気配を察知する。一方健人とネーゲルはエクリプス変異体故に他のエクリプスの気配を察知できる。
苗床とされた人はその後、PTSD、抑うつ、感情表現の欠落などを思わせる症状を見せ、また襲撃された経験を含め、エクリプスについての記憶が抜け落ち、解離性健忘の様相を呈する。そして周囲は基本的にエクリプスを認知しきれない故、その被害の具体的内容について話しても信頼されにくい。また、仮にその存在に気づいた人間に対しても、エクリプスは即事補食か抹殺対象としている。そうしてエクリプスは人間社会に潜みながらも蔓延っていく。
⇒リュミエたちに助けられた者は、”エクリプスの存在”と”赤髪の魔女たち”を認
知しているため(後述)、これらが都市伝説としてのみ伝わる一連の事象が完成
する
フォースフィールド
上位のエクリプスなら誰でも使える汎用的な怨術。魔怨結界とも呼ばれる。行使したエクリプスを中心に結界(異空間)を生成し、現実世界を上書きするように展開する技。結界内は行使したエクリプスにとって戦いやすい環境が広がっており、自身の力を最大限発揮出来る。展開した際には範囲内にいた人物を取り込む、または追い出すことができる。結界内に閉じ込められた者はエクリプスが技を解くかエクリプスを倒すまで出られず、結界から追い出された者は内側に干渉できない。エクリプスにとっては倒したい相手だけを確実に捉えられ、邪魔者を排除してのデスマッチができるため、戦場としてよく利用される。
『リュミエ』
幾重にも広がる外宇宙、或いは異世界にある耀夜の国、”ルクスカーデン王国”の王女。同王国はエクリプスの侵攻によって滅亡の危機に瀕し、国王は王国を構成していたものを全て封印。その際にリュミエは”最後の希望”として国から送り出された。
こうした経緯から、“ボイジャー”と呼ばれる国王一族の特異体質を引き継いだ先天的な魔法使いであるが、朝憬市での日常生活においては、燎星心羽と名乗っている14歳である。地球に避難してきてすぐは身寄りもないため児童養護施設に保護され、小学校にも通い始める。
小学6年生の時にクラスの陰湿な空気を変えようと奔走した結果いじめに遭うが、たまたま出会った“ある人物”の言葉が支えとなりいじめも陰湿な空気もクラスから取り払うことに成功。この出来事は心羽の人格を大きく変えることとなる。
その後間もなく、エクリプスが地球に襲来したことを察知。人知れず戦いへの決意を秘めた彼女は、地球での生活に適応すべく封印していた魔法を解禁。養護施設を出奔し、移り住んだ先では地域の人に支えられながらも、人々をエクリプスらの脅威に晒さないため、距離をとって孤独な戦いに身を投じている。
変身後は、服装や顔立ちなどが変化し、変身前とは別人に見える魔法が掛かっている。そのため赤髪の魔女リュミエと燎星心羽とは結び付くことは基本的にない。そのためエクリプス関連の事件で対象者と接触する時など、非戦闘でも変身していることも。
背中には一対の白い翼を展開する器官があるほか、衣装は耐熱性と動きやすさを重視したものとなり、リュミエ自身の体重も変身前より軽くなっている。衣装の手首にあるブレスレットは魔力を増幅させる機能を持ち、技名を唱えることで対応した必殺技を発動できる。
攻撃手段となる主な魔法は物語の進行に合わせて炎→光→星へと変化する。
【炎の魔法】
本編開始時から使用可能な魔法系統。心羽が得意な“熱の魔法”の発展系であり、火球を放ったり火柱を並べて壁を作ったり、炎の性質をシンプルに利用した技が多い。
変身魔法を応用して炎で弓矢を成形し、遠距離から牽制する戦闘スタイルを得意とする。一方で防御できる武装はなく、敵からの攻撃には打たれ弱い。一緒に戦いたいというエウィグの希望に応え魔法の共有を行ってからは、エウィグとの連携により攻撃される隙を埋めている。
必殺技は爆発する魔力の塊を矢に乗せ炎の弓で射る“プロミネンスシュート”や、火の鳥エウィグを纏い共に突撃する蹴り技“メテオフレアウィング”など。
リーンと共に戦線を張るようになってからのリュミエは、前衛に立つリーンをサポートするため一歩引いた位置にいることが多いが、まだ連携が未熟なためその隙を埋める形でエウィグも戦闘に貢献する。
エクリプスの活動が活発になってくると、リュミエは炎の魔法を“暴走”させて戦うようになる。暴走した炎の魔法はそのひとつひとつが必殺技級の威力を持ち、大勢のエクリプスを同時に相手しても渡り合える。しかし暴走する炎の威力は衣装の耐熱性をも上回り、攻撃の度にリュミエ自身も炎に呑まれる。この技を何度も使えばリュミエの命も危ないが、この街はリュミエにとって命にも代え難い大切なものであり、必要とあれば惜しまず暴走を行使する。ちなみに暴走とは言ってもいわゆる暴走と違い、リュミエの意思で発現し制御している。
必殺技は痛覚をシャットアウトし、身体が燃え尽きるまで徹底的に攻めの姿勢をとる“ハイエストマイセルフ”。決死の技であるため作中での使用回数は少ない。
【光の魔法】
心羽を必死で救おうとした剣人の想いが結実したために誕生した、リュミエの新しい魔法系統。質量のある光の粒子を操ることで様々な物体を生成できるのが特徴。炎の魔法の発展系であるが炎の魔法とは正反対の特性もあり、炎の魔法が抱えていた弱点を補う技を多数内包する。しかし、行使するにはリュミエとリーンの思いが通じ合っている必要がある。
こうした特徴から、心羽が自力で覚醒させた魔法ではないとみられている。その条件は心羽が剣人の想いを受け取ることであるとされ、剣人の働きかけが生み出した魔法だと推察されている。
必殺技は無限の弾速で敵を貫く光の矢“ライトニングシュート”や、周囲の光を右手に集め全てを魔力に変換して解き放つ“ルーチェ・シュヴァルツシルト”など。
【星の魔法】
終盤、心羽が………と………することで誕生した、新たな魔法系統。重力を操作する力を持ち、空間や時間の流れに緩急を生み出して優位に立ち回る。最大の特徴は………する性質であり、光の粒子を使って星座を模した陣形“夢創陣”を展開し、星をモチーフにした心羽らしい独特な技の数々を繰り出して戦う。
必殺技は自身が無数の光になり、矢の雨の如く敵に突撃する“サジタリアス・スターシュート”。
【スターリードレス】
…………では………して変身する。専用の衣装に変化し、白く輝くドレスが太陽のように辺りを照らす。
変身している間は常に敵の攻撃魔力を喪失させる太陽風“ヘリオフレア”を放ち、周囲の下等エクリプスを無力化し、上位エクリプスを弱体化させる。
必殺技は夜空を照らす星々の光ひとつひとつが極太の光線となって大地に降り注ぎ、広範囲を灼き払う“スターライト・レディエーション”。
『アズ』
数百年から数千年前、“アズ”と呼ばれる地球外生命体の一族が“交わりの地”である朝憬市に現れる。異なる文化や感覚を持つが姿は地球人と瓜二つな彼らは、朝憬市の人間社会に違和感なく溶け込み、人知れず地球人との共栄関係を築いている。アズとは彼らの言葉で風の民を意味し、吹く風にあたるだけで様々な情報を得られるほど、鋭く繊細な感覚を持つ。中には風から得る情報を元にして直後に起こりうる未来を察知する者もいる。朝憬市の人間から宇宙人だと気付かれることはないが、その気質や性格から「真面目」「丁寧」「慎重」「臆病」などと評されることが多い。
現在では一族の末裔たちがアズグループとよばれる多角化企業を経営しており、持ち前の繊細さを活かした様々な事業を行う中で、地球という異星人の文化や技術の研究を行っている。
朝憬市にいるアズと彼らの故郷であるヴィン共和国は定期的に連絡を取りあっていたが、ヴィンがエクリプスの襲撃に遭い国が滅亡し、連絡が断絶。それから数年後(本編開始2年前)、エクリプスが朝憬市に侵攻してきたことをいち早く察知。
亮はヴィン共和国の生き残った英雄であり、ヴィン滅亡の際にエクリプスに捕まり、洗脳され奴隷兵士として使役されてきた。
現在のアズグループのトップであるスクロアは、一見して慎重や臆病とは真逆の明るく大胆な性格を持ち、改革的で芯のある経営手腕で多くのアズや消費者たちの支持を集めている。しかし、その性格も含め全て計算し尽くされた上で作られた演技であり、スクロアの本心は誰にもわからない。
『雷魔リーン』
花森健人という青年が変身する半エクリプス。甲虫を思わせる槍と甲冑を右腕と左脚に宿し、その顔の右半分も異形のマスクを纏う。こうした変化のため、彼もまた変身前と変身後では別人に見える。花森健人は本来、朝憬英道大学に通う社会福祉学専攻の二回生であるが、自他に対する情熱を封印し、一日一日を平穏に過ごすことにのみ注力していた。しかしある時悪魔を思わせるエクリプスに襲撃され、その際抱いていた絶望を暴かれる。
「…俺には何もできない、誰の力にもなれないように出来てる——」
その時、いつも身に着けていたある少女から貰ったキーホルダーが輝き、白銀の大きな体躯を持つエクリプス”ネーゲル”が現れる。それと共に健人の身体は上記のように変化した。それが彼の数奇な運命の大きな分岐点だった。
以下、ギルの構想——
健人が半エクリプスになったのは、ネーゲルが発現したことに伴うバグ。ネーゲルは健人から生まれたエクリプスであるが、既存のエクリプスとしての経緯を踏んでいない。(詳細は下記)
そのため、絶望に渇いていた健人の体内に沈殿していったエクリプス因子が、健人が幼少期に憧れながら遂になり得なかったヒーローのイメージに応じて、その姿を直接的に半エクリプスへと変えたのがリーンである。
『刀魔ネーゲル』
健人の身に着けていたキーホルダーを媒介に生まれたエクリプス。白銀の大きな体躯を有し、大剣と太刀を持つ。エクリプスとしては完全な個体ではなく、苗床(ネーゲル曰く宿主)である健人から離れての単独行動は不可能。普段は健人の内にあるか、必要に応じて小さな姿を形成して出てくる。そのため健人からは居候と呼ばれている。
戦闘時にはその大きな身体と膂力、剣戟をリーンとのコンビネーションに織り交ぜて敵を圧倒するが、力の行使には健人(リーン)の有する魔力を消耗するため、一回の戦闘において三分間以上の活動は不可能。
以下、ギルの構想——
その正体は絶望から生まれたエクリプスではなく、かつて健人が棄て、展望台の少女(燎星心羽)に背負わせたと思っていた心——”人を大切に思う部分”から生まれたエクリプスの亜種。棄てたはずのその心は、少女が健人に渡すまで博愛の祈りと魔力を込めていたキーホルダーと反応し、生命にすら満たない魔術式となって保存されていた。それが悪魔の攻撃を健人が受けた時、エクリプス因子の情報を読み取って仮初であるが遂に生命を獲得。発現したのがネーゲルである。