千想の魔法 3.光環の狩人 version 1

2023/01/16 15:56 by sagitta_luminis sagitta_luminis
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心羽パート序章 プロット
時系列では[青年との出会い](https://mimemo.io/m/xn0Yd4ZEwBly7v6)から数年が経ち、[影と星灯り](https://mimemo.io/m/z2XWn4vKv8GYApm)の数ヶ月ほど前にあたる、本編の前日譚。
※文章中、斜体になっている部分は本文のイメージ。

@[TOC]

#### 1話

##### 1-1 

*目を開けると森の中にいた燎星心羽。
新緑が風に揺れて木漏れ日がキラキラと瞼を撫でる。
また、新しい場所だ…*

森の風の音の中に動物の気配を感じ、警戒している心羽の視線の先に黒い魔物が姿を現した。四足歩行で動物然とした体格だが、まるで影に溶け込むような暗い体色でその全貌は窺い知れない。

この魔物に襲われそうになった心羽だが、すんでのところで黒い剣士に助けられる。
剣士は長身で黒い外套に身を包み、赤い髪に翠色の目をしている。外見年齢は20代前半。
「この森は危険だ。早く立ち去れ」
剣士は心羽と魔物との間に割って入り、自分の頭身ほどもある大きな両手剣を振るって魔物を一刀両断する。
さらに、樹の陰から飛び出してきた魔物たちを次々に斬り伏せると、突然のことに驚いて固まっていた心羽に声をかける。
「なぜ動かない? 方角がわからないのか」
心羽はその剣士に礼を言い、あれこれと質問を持ちかける。

*「ありがとう、剣士さん。」
「礼は要らない。お前を助けるためにやったわけじゃない」
「街の方角がわからないなら案内してやる。わかるなら俺はこれで」
「待って、せめてお名前だけでも…」
「俺はイジェンド。ただのトレジャーハンターだ」
「私は燎星心羽。心羽って呼んで。」
「心羽……聞き慣れない名だな。どこから来た」
「前は日本にいた。」
「日本?聞いたことがないな」
「世界中を旅してるの」
「旅の者……。そうか。なら、地図くらいは持ってるよな。方角を教えるから早く行くんだ」
「待って、さっきの怪物のことを教えて」
「あれは“影魔”だ」
「どんなやつなの?」
「詳しいことはわかっていない。やつらは最近になって急に森のあちこちへ出現し、人を見つけては殺して喰っている。被害はわかっているだけで30件以上」
「この森は危険ってそういうこと…」
「ああ。だからお前も喰われないうちにここを立ち去れ」
「イジェンドは来ないの?」
「俺は用事があってここにいる。離れるわけにはいかない」
「こんな危険なところに用事って…?」
「影魔の調査と制圧だ。一般人には不可能だからな」
「ついて行っていい?」
「お前、今の話を聞いてなかったのか?死ぬぞ」 
「でもイジェンドは優しくて強いから、イジェンドの近くにいれば安全だよね」
「……フン、好きにしろ。言っておくが、俺はわざわざお前を守ったりしないぞ」
「あれ、もっと優しい人かと思ってた」
「そもそも俺は優しくないし、お前を守る動機も義理もない。…それに、できない約束もしない」
「……そっか、わかった。自分の身は自分で守るよ。」
「…おかしな奴だ」*

心羽はしばらくイジェンドの後についていき、イジェンドを質問責めにして様々な情報を得た。まず、この森は“ユール王国”という国の領土であり、この森は“ユール森林”、近くにある街は“ユール城下街”と呼ばれていること。そして、

*「ねえ、イジェンドはなんで影魔の調査をしているの?一般人には不可能だから?」
「ああ。」
「でもどうして?動機も義理もなさそうだけど?」
「別にどうだっていいだろう。なぜ知りたがる」
「だって、気になるじゃん」
「勝手に気にしてろ」*

##### 1-2 

しばらく行動を共にしていると、再び影魔の群れと遭遇する。心羽は影魔に食われないよう必死で逃げ回る。一方でイジェンドは両手剣に炎を宿すと、熱した刃で影魔の装甲を融かすように両断し、燃え盛る両手剣を豪快に薙ぎ払いながら群れを一掃した。

*「……怪我はないか。」
「心配してくれるの?やっぱり本当は優しいんだ。見ての通り無傷だよ!イジェンドのおかげでね」
「ならいい。日が暮れる前に先へ急ごう」
「さっきの、剣が燃えてたのはどうやったの?魔法?」
「魔法などという都合のいい力ではない。あれはただの呪いだ」
「呪い…。それってどんな?」
「触れたものを燃焼させる。昔と比べれば今はある程度制御できるが、それでも“事故”はある……」
(事故…イジェンドの過去にいったい何が…)
「お前は怖くなかったのか」
「別に? 影魔は怖いけど、イジェンドを怖いとは思わなかったよ。どうして?」
「やっぱりおかしな奴だな、お前。普通の奴はこんな異常現象を目にしたら気味悪がって逃げ出すものだ」
「旅人だからね、そういうのには慣れてるよ。それより、イジェンドのこと聞かせてよ。どうして独りで影魔の調査をしてるの?」
「なぜそんなに俺の事を知りたがるんだ。知っても面白くないだろう」*

##### 1-3 変身

しばらく進むと

#### 2話

##### 2-1 鍛錬

##### 2-2 野宿

##### 2-3 翌朝

##### 2-4 天使

#### 3話

##### 3-1 青空

##### 3-2 城下街
      

時系列では青年との出会いから数年が経ち、影と星灯りの数ヶ月ほど前にあたる、本編の前日譚。
※文章中、斜体になっている部分は本文のイメージ。

目次1話1-11-21-3 変身2話2-1 鍛錬2-2 野宿2-3 翌朝2-4 天使3話3-1 青空3-2 城下街

1話

1-1

目を開けると森の中にいた燎星心羽。
新緑が風に揺れて木漏れ日がキラキラと瞼を撫でる。
また、新しい場所だ…

森の風の音の中に動物の気配を感じ、警戒している心羽の視線の先に黒い魔物が姿を現した。四足歩行で動物然とした体格だが、まるで影に溶け込むような暗い体色でその全貌は窺い知れない。

この魔物に襲われそうになった心羽だが、すんでのところで黒い剣士に助けられる。
剣士は長身で黒い外套に身を包み、赤い髪に翠色の目をしている。外見年齢は20代前半。
「この森は危険だ。早く立ち去れ」
剣士は心羽と魔物との間に割って入り、自分の頭身ほどもある大きな両手剣を振るって魔物を一刀両断する。
さらに、樹の陰から飛び出してきた魔物たちを次々に斬り伏せると、突然のことに驚いて固まっていた心羽に声をかける。
「なぜ動かない? 方角がわからないのか」
心羽はその剣士に礼を言い、あれこれと質問を持ちかける。

「ありがとう、剣士さん。」
「礼は要らない。お前を助けるためにやったわけじゃない」
「街の方角がわからないなら案内してやる。わかるなら俺はこれで」
「待って、せめてお名前だけでも…」
「俺はイジェンド。ただのトレジャーハンターだ」
「私は燎星心羽。心羽って呼んで。」
「心羽……聞き慣れない名だな。どこから来た」
「前は日本にいた。」
「日本?聞いたことがないな」
「世界中を旅してるの」
「旅の者……。そうか。なら、地図くらいは持ってるよな。方角を教えるから早く行くんだ」
「待って、さっきの怪物のことを教えて」
「あれは“影魔”だ」
「どんなやつなの?」
「詳しいことはわかっていない。やつらは最近になって急に森のあちこちへ出現し、人を見つけては殺して喰っている。被害はわかっているだけで30件以上」
「この森は危険ってそういうこと…」
「ああ。だからお前も喰われないうちにここを立ち去れ」
「イジェンドは来ないの?」
「俺は用事があってここにいる。離れるわけにはいかない」
「こんな危険なところに用事って…?」
「影魔の調査と制圧だ。一般人には不可能だからな」
「ついて行っていい?」
「お前、今の話を聞いてなかったのか?死ぬぞ」
「でもイジェンドは優しくて強いから、イジェンドの近くにいれば安全だよね」
「……フン、好きにしろ。言っておくが、俺はわざわざお前を守ったりしないぞ」
「あれ、もっと優しい人かと思ってた」
「そもそも俺は優しくないし、お前を守る動機も義理もない。…それに、できない約束もしない」
「……そっか、わかった。自分の身は自分で守るよ。」
「…おかしな奴だ」

心羽はしばらくイジェンドの後についていき、イジェンドを質問責めにして様々な情報を得た。まず、この森は“ユール王国”という国の領土であり、この森は“ユール森林”、近くにある街は“ユール城下街”と呼ばれていること。そして、

「ねえ、イジェンドはなんで影魔の調査をしているの?一般人には不可能だから?」
「ああ。」
「でもどうして?動機も義理もなさそうだけど?」
「別にどうだっていいだろう。なぜ知りたがる」
「だって、気になるじゃん」
「勝手に気にしてろ」

1-2

しばらく行動を共にしていると、再び影魔の群れと遭遇する。心羽は影魔に食われないよう必死で逃げ回る。一方でイジェンドは両手剣に炎を宿すと、熱した刃で影魔の装甲を融かすように両断し、燃え盛る両手剣を豪快に薙ぎ払いながら群れを一掃した。

「……怪我はないか。」
「心配してくれるの?やっぱり本当は優しいんだ。見ての通り無傷だよ!イジェンドのおかげでね」
「ならいい。日が暮れる前に先へ急ごう」
「さっきの、剣が燃えてたのはどうやったの?魔法?」
「魔法などという都合のいい力ではない。あれはただの呪いだ」
「呪い…。それってどんな?」
「触れたものを燃焼させる。昔と比べれば今はある程度制御できるが、それでも“事故”はある……」
(事故…イジェンドの過去にいったい何が…)
「お前は怖くなかったのか」
「別に? 影魔は怖いけど、イジェンドを怖いとは思わなかったよ。どうして?」
「やっぱりおかしな奴だな、お前。普通の奴はこんな異常現象を目にしたら気味悪がって逃げ出すものだ」
「旅人だからね、そういうのには慣れてるよ。それより、イジェンドのこと聞かせてよ。どうして独りで影魔の調査をしてるの?」
「なぜそんなに俺の事を知りたがるんだ。知っても面白くないだろう」

1-3 変身

しばらく進むと

2話

2-1 鍛錬
2-2 野宿
2-3 翌朝
2-4 天使

3話

3-1 青空
3-2 城下街