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星と花のレガリア (仮称)
目次:〈希望の賜主〉
遠い昔、何処かの世界。そこにある狂人がいた。彼は独りだった。彼は人として生きていた頃、欺瞞と欲望に溢れた醜悪な世界に無常さを抱いていた。だが誰も、何も守れぬ現実、救えぬ諦観をただそこから見続けていた。彼はある時、既存のあらゆる生命を超える力を得る。彼はその力——仮称”レガリア85”に向けて一つ、願いを述べた。
”私は望む。穢れ生きる命の末梢、それによる浄化を。ただ清らかなる者が、優しく生きられるために”
命の選別を論じる気さえ毛頭なかった。もう何者も泣くことが無いよう、ただ内に宿る衝動が口から零れ出た。それ故か光が全てを覆った次の瞬間、確かに願いは叶えられこそした。それまでの彼の世界が、自身を除き全て滅ぶことで。
"ああ、皆そんなものだったか"
静かな失望と共に小さな独り言が、壊れた世界に零れ落ちた。
同時に彼は、自身にもう一つ力が備わっていたことに気づく。それは彼が望む”清廉な生命となり得た者達”の創出。だがこの者たちは彼の心が最早虚ろだった故か、他者の命と絶望を贄とし、食む存在となっていた。
この一連の結果は、彼が描いた理想への解。故に彼は自身の望み、その本質を理解した。既存の生命全ての否定にして、新たなそれを創造、全世界を刷新する。故に彼はそれまでの全てへ皮肉を込め——
”私こそ、希望の賜主である”
そう、自称した。